手は常に外の空気に触れているため、刺激を受けやすい部位です。
手に起こる不調でつらい思いをしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、手湿疹の原因や対処法について解説します。
目次
手湿疹とは
手湿疹とは、水仕事や手指消毒などの刺激が手に加わることや、アレルギーが原因で発症する皮膚の炎症のことです。指先や手のひら、爪の周辺などの乾燥や 、赤みや強いかゆみ、水ぶくれなどさまざまな症状が見られます。
手湿疹は、男性よりも女性に多く見られ、職業別に見ると理容師や美容師、看護師、調理や皿洗いなどの業務に携わっている方が発症しやすいことがわかっています。
手湿疹はさまざまな対処法や予防法がありますが、人それぞれ症状が違う疾患なので原因や症状に合った方法で対応することが大切です。
手湿疹の主な原因とは?
手湿疹の原因は一つではなく、さまざまな原因があります。
最も頻度の高い原因は接触刺激因子です。また接触アレルゲン、即時型接触アレルゲン(食物などのたんぱく質抗原)などの外因性因子だけでなくアトピー因子、原因が明らかにできない内因性のものなどもあります。
ここでは、手湿疹の発生機序ごとに4つに分けてご紹介します。
原因1:水仕事やアルコールなどによる刺激性接触皮膚炎
刺激性接触皮膚炎とは、水仕事やアルコールによる手指消毒など物理的・化学的な刺激が原因で起こる皮膚炎のことです。
手湿疹の原因の約7割が刺激性接触皮膚炎と言われています。
一般的には利き手の指先や手のひら、爪の周りなどに起こりやすいようです。
原因物質としては界面活性剤、消毒剤、化粧品、エポキシ樹脂などが挙げられます。
原因2:化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎
アレルギー反応によっても手湿疹になる場合があります。
アレルギー性接触皮膚炎は、刺激性接触皮膚炎よりも湿疹やかゆみが強く出ることがわかっているのです。
アレルゲンが長く残りやすい指の間や指の側面に症状が出ることがあります。 原因物質としては金属、樹脂、ゴム、農薬、植物などです。
原因3:たんぱく質抗原に対する接触皮膚炎
皮膚に触れたアレルゲンに対する即時型アレルギーが原因で発症する手湿疹です。
症状は、皮膚の内側から盛り上がった発疹やかゆみ、灼熱や痛痒さなどが見られます。
これらの症状は、アレルゲンに触れる機会を無くすと通常数時間以内に消える点 が、化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎との違いです。
原因物質としては食物、植物、動物、小麦、穀類、天然ゴム製品などが挙げられます。
原因4:アトピー型手湿疹
アトピーの方は、皮膚のバリア機能が低下しやすい傾向にあるため、手湿疹になりやすいと言われています。
また、花粉やカビなどのアレルゲンに触れるとアトピー性皮膚炎の悪化にともなって手湿疹も悪化してしまう場合があります。
手湿疹の原因でよくある疑問
手湿疹は、上記のように明らかにされている原因と原因不明の場合があります。
ここでは、手湿疹の原因でよくある疑問について解説します。
ストレスが原因で手湿疹になる場合がある?
ストレスが原因で手湿疹になるという科学的根拠はありませんが、既に手湿疹を発症している場合は、強いかゆみや痛みがストレスとなり、そのストレスが症状を促進させてしまう可能性があります。
かゆみや痛みのストレスから、手を掻くのを我慢できずに掻いてしまい、その物理的な刺激により手湿疹が悪化してしまう可能性があるためです。
ストレスが原因で必ず手湿疹になってしまうというようなことはありませんが、手に加わる刺激をなるべく減らすことが大切です。
手湿疹と見分ける必要がある疾患
肝疾患や主に肝硬変の症状の一つに手のひらや親指と小指のつけ根の部分が赤くなる手掌紅斑(しゅしょうこうはん)があります。
肝疾患や肝硬変で見られる手掌紅斑 と、手に刺激が加わることやアレルギーが原因で発症する手湿疹は症状が似ていますが、発症する原因が違います。
肝臓は、人間の身体が必要としている物質を作ったり、不要になった物質を解毒して排泄したりするなど、生きていくために必要不可欠な臓器です。
病気がある程度進行しないと自覚症状が現れないため、「沈黙の臓器」と呼ばれています。 そのため、手掌紅斑やほかに気になる症状がある場合はなるべく早く医療機関を受診することが大切です。
手に現れる症状はつい、外からの刺激が原因かと思ってしまいますが、上記のように内臓の病気が隠れている場合もあります。
皮膚は体の健康状態を表す鏡とも言えるのでただの手湿疹だからと放置するのではなく、体からのサインを見逃さないようにしましょう。
手湿疹の症状で見る進行具合
手湿疹は進行具合によって対処法が異なります。早く治すためには症状に合った方法で対処することが必要です。
ここでは水仕事やアルコール消毒による刺激性接触皮膚炎の場合における手湿疹の進行具合について初期、進行期、重症期に分けて解説します。
初期:カサカサ期
手湿疹は、乾燥から始まることが多いと言われています。
特に、水仕事をする機会が多い方は手のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなってしまうのです。
手湿疹の初期症状であるカサカサ期に放置せず、対処するようにしましょう。
進行期:ひび割れ期
手に加わる刺激が長期間におよんだり、短期間でも強い刺激が加わったりすると、乾燥だけでなく、ひび割れが目立つようになります。
赤みやかゆみが出てくる場合があるのでなるべく手に刺激を与えないことが大切です。
重症期:じゅくじゅく期
手湿疹が重症化するとひび割れやかゆみなどに加えて 、水ぶくれができる場合があります。
重症期にハンドクリームなどで保湿をすると刺激になり、悪化してしまうことがあるので自己判断で対処するのではなく、医療機関を受診するようにしましょう。
手湿疹への対処法
痛みやかゆみがあるつらい手湿疹ですが、さまざまな対処法があります。
ここでは、水仕事やアルコール消毒による刺激性接触皮膚炎の場合における、すぐにできる手湿疹の対処法を4つご紹介します。
対処法1:水仕事の際は、ゴム手袋をつける
物理的な刺激である水仕事は、手湿疹が悪化してしまう原因の一つです。
手湿疹の症状があるが、どうしても水仕事を避けられない時はゴム手袋をつけてなるべく刺激を与えないようにしましょう。
ただしラテックスアレルギーがある場合はゴム手袋でアレルギー性接触皮膚炎が起こる場合もあるため注意が必要です。
対処法2:アルコールによる手指消毒の回数を減らす
アルコールによる手指消毒の回数が多いと化学的な刺激により、手湿疹が悪化してしまう場合があります。
手に加わる刺激を軽減するためにも手指消毒の回数をなるべく減らすようにすると良いでしょう。
対処法3:しっかり保湿する
手湿疹の原因で最も多い刺激性接触皮膚炎は、乾燥から始まることがわかっています。
乾燥によりバリア機能が低下すると手湿疹が悪化してしまう場合があるのです。水仕事や手洗いをした後は特に乾燥しやすいので、しっかり保湿することを心がけましょう。
対処法4:ステロイドでかゆみを減らす
強いかゆみがあり、たくさん掻いてしまうと手湿疹が悪化してしまう場合があります。
アレルギー性手湿疹の場合 は、かゆみを減らす働きがあるステロイド外用薬(塗り薬)を使う治療が勧められています。
市販薬を使う場合は薬剤師、または登録販売者に相談しましょう。
手湿疹の予防法はある?
手湿疹を予防するためには、なるべく手に刺激を与えないことが大切です。
手湿疹の症状がなくても水仕事の際には手袋をすることで刺激を減らすことができます。
手袋をつけることが難しい場合は、水仕事や手洗いの後は肌に優しい保湿剤でしっかり保湿すると良いでしょう。
一度発症するとかゆみや痛みなどつらい症状がある手湿疹ですが、さまざまな方法で予防できる場合があります。
まずは、自分の生活習慣を振り返ってできそうなことから取り組んでみてください。
まとめ
手湿疹の原因や対処法についてお分かりいただけたでしょうか。
手湿疹は人によって原因や症状が違うため、それぞれに合った予防や対処法が必要です。
しかし、手湿疹になる多くの原因は水仕事やアルコールによる手指消毒など手に加わる刺激であるため、予防のためにはなるべく手に刺激を与えない生活をすることが大切です。
この記事でご紹介した手湿疹の対処法や予防法を実践して、なるべく早くつらい症状をなくしましょう。
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監修者:木村 眞樹子医師 |
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。