2024.02.08
健康

【医師監修】PMS(月経前症候群)の症状を緩和するセルフケア方法

PMS(月経前症候群)とは

最近ではPMSという言葉を知っている方も多くなってきたようです。PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略であり、日本語では「月経前症候群」と呼ばれます。
生理がはじまる3~10日前ごろから身体や心に不調が生じ、生理がはじまるとおさまっていくのが特徴です。

働く女性約1,000人に対して実施されたPMSに関する調査では、約70~80%が月経前に何かしら不調を感じていると回答しました。
また別の調査では、PMSによって仕事のパフォーマンスが通常の半分以下まで低下すると回答した人は約半数に上りました。
このようにPMSは多くの女性にとって無視できない問題となっています。

PMSと似ている症状に、月経前不快気分障害(PMDD)やうつ病などの精神神経疾患があります。混合しやすいため、正しく診断するには不調と月経の日付を記録し、月経周期との関連を確認する必要があります。

PMS(月経前症候群)の症状の例

PMSの症状は人それぞれです。中でも、腹痛や頭痛といった身体的な症状と、情緒不安定やイライラといった精神的な症状がよく知られています。

ここでは、身体的な症状と精神的な症状の2つにわけて解説します。

身体の症状

PMSでは、身体的にもさまざまな不調が現れます。以下に、代表的な身体的症状を挙げます。

・身体的症状

・腹痛、頭痛
・胸の張り、乳房の痛み
・むくみ、体重増加
・疲労感、倦怠感

症状の程度や種類は個人差が大きく、日常生活に影響が出るほどの体調が悪くなる人もいれば、ほとんど感じないといった方もいます。月によっても症状の現れ方や程度が異なるため、症状が重い場合は無理をせず、医療機関を受診しましょう。

精神的な症状

PMSで生じる精神的な症状は、生活の質に大きな影響を与えることがあります。以下に代表的な精神的症状を挙げます。

・精神的症状

・イライラや怒りっぽさ
・不安感や緊張感
・抑うつや悲しみを感じる
・集中力や判断力の低下
・睡眠障害や不眠

これらの症状は日常生活に支障を来たし、家庭、学校や職場の人間関係や、学業や仕事のパフォーマンスにもネガティブな影響を及ぼしてしまうことがあります。月経前不快気分障害(PMDD)であることもあるので注意が必要です。

PMS(月経前症候群)の原因とは?

PMSは女性ホルモンが関係していると言われていますが、実ははっきりとはわかっていません。

月経がある女性では、排卵から月経までの期間(黄体期)に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンが多く分泌されます。しかし、黄体期の後半になると、これらのホルモンの分泌量が急激に低下します。
このようなホルモンの急激な変化によって、脳内のホルモンバランスや神経伝達物質に異常が生じ、PMSの症状を引き起こす要因となっていると考えられています。
さらにPMSは、女性ホルモンの変動だけが原因ではなく、ストレスをはじめ、さまざまな要因から起こるとも考えられています。
原因がはっきりしないことも、多くの人がPMSによる心身の不調をがまんしてしまったり、PMSであることに気がつかなかったりする要因にもなっています。

PMS(月経前症候群)と年齢

PMSの症状は、思春期から性成熟期にかけて、幅広い年代の女性にみられます。
女性ホルモンの分泌量は年齢によって変化するため、年齢によって異なる症状がみられることもあります。

PMSの症状と似ているものに、更年期障害があります。
更年期とは、閉経の前後5年、45~55歳ころを指します。女性ホルモンが減少するこの時期には、PMSとよく似た症状がみられる場合があります。
「PMSだと思っていたら更年期障害だった」といったケースもあるので、念頭に置いておきましょう。

PMS(月経前症候群)を和らげるセルフケア

PMSは自分なりの対処法を見つけることで、症状を緩和し、辛さを軽減できる可能性があります。生活習慣に気をつけて、上手に付き合っていきましょう。

ここでは、今すぐできる生活習慣のポイントをご紹介します。

食事

PMS対策として最初に考えたいのは、毎日の食事です。食事で気をつけたいポイントやメニューを確認してみましょう。

・PMSを緩和する食事:ビタミンやミネラルを摂取しよう

PMSの症状を和らげるためには、カルシウムやマグネシウム、ビタミンE、ビタミンB6などの栄養素をバランスよくとるのがポイントです。特に青魚、緑黄色野菜、玄米、ナッツ類、小魚、ヨーグルト、ひじきやきくらげなどを積極的に食事に取り入れましょう。栄養バランスを意識した食事がPMSの軽減に役立ちます。

・PMSを緩和する食事:カフェインは控えよう

PMSのイライラを軽減するためには、カフェインの摂取を控えるのも大切です。コーヒーや紅茶、日本茶だけでなく、ココアやチョコレート、コーラにもカフェインが含まれています。特に生理前に甘いものが食べたくなる人は、無意識にカフェインを多く摂取している可能性があります。リラックス効果も期待できるハーブティーやデカフェ製品を取り入れるのもよいですね。

・PMSを緩和する食事:炭水化物も欠かさずに

炭水化物は脳のエネルギー源であり、不足するとイライラや気分の落ち込みを悪化させることがあります。そのため炭水化物はしっかり摂取する必要がありますが、何を食べるかには配慮が必要です。
血糖値の急激な上昇はPMS症状を引き起こす原因の一つと考えられています。白米や小麦粉製品を避け、玄米や全粒粉のパンなどの低GI食品を選ぶと血糖値が安定し、PMSの緩和に役立ちます。

運動

有酸素運動は、PMSの症状緩和に効果的です。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどを日々取り入れてみましょう。

ただし、定期的な運動習慣がない場合は、継続のためにも無理をしないことが大切です。
ウォーキングといった軽めの運動に短い時間で取り組むことからはじめてみましょう。日常生活の中で歩数を増やすよう意識してみるのもよいですね。

生活面

ストレスはPMSの症状を悪化させる要因となることがわかっています。
ストレスと上手に付き合うことがPMSの症状緩和に欠かせません。
ストレスを感じたら無理せずにいったん休むなど、迅速に対処するようにしましょう。

そのためには、自分なりのストレス発散法を見つけてみましょう。
好きなことをしてリフレッシュしたり、ゆっくり心身を休ませたり、自分を労うのがポイントです。
また、悩みがある場合は、誰かに話すことで気持ちが楽になることもあります。

さらにPMSの症状が出た時には、いつどういった症状が出たかを記録しておくことも大切です。自分の症状の傾向を客観的に見て、自分に合った対策を見つける手助けになります

婦人科で受診しなくちゃいけないの?

PMSの原因は明確には解明されておらず、確立された治療法が存在するわけではありません。

しかし、日常生活に支障をきたすような重い症状がある場合は、婦人科を受診してみましょう。薬物療法の選択肢として、低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を用いて排卵を抑える治療法が知られています。また、個々の症状や体質に合わせて処方される漢方薬も、PMSの治療に広く用いられています。

自分で対処が難しい場合や早期に症状を和らげたい場合は、一人で悩まず婦人科の専門医に相談しましょう。

まとめ

PMSの症状や対処法についてご理解いただけたましたか?
症状が重い場合、身体の不調によって仕事が思うように進まなかったり、感情のコントロールが難しくなったりすることがあります。これが原因で、家庭や職場での人間関係に影響を及ぼすことも少なくありません。

PMSと上手に付き合うためには、正しい知識を持ち、生活習慣を整えること、そして自身の症状を把握することが大切です。

もし症状が重すぎる、または自分で対処が難しいと感じた場合は、婦人科に相談しましょう。専門家の力を借りることで、適切なサポートを受けることができます。

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監修者: 海老根 真由美医師

1997年埼玉医科大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター母体胎児部門にて病棟医長を歴任。2013年6月に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開業。

クリニックURL: https://ebine-womens-clinic.com

所属:日本産科婦人科学会・日本母性衛生学会・日本周産期・新生児学会・周産期メンタルヘルス研究会

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