2024.04.25
健康

【医師監修】解熱剤の効果が出ない?種類や使い方を解説!

解熱剤とは

genetsu2.png 解熱剤とは、熱や痛みを抑える医薬品です。正式には「解熱鎮痛剤(げねつちんつうざい)」と呼びます。
あくまでも一時的に熱や痛みを抑える薬であり、熱や痛みの原因を根本的に治すものではありません。

解熱剤の成分はNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)に該当するものとしないものに分けられます。
NSAIDsは身体の中で炎症や痛み、熱などを引き起こす「プロスタグランジン」と呼ばれる物質の生成を抑えると考えられています。
代表的なNSAIDsに、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあります。

NSAIDsに該当しないものには、アセトアミノフェンがあります。
アセトアミノフェンは体温調節中枢に働きかけ、血管や汗腺を拡張することで熱を外へ逃がしたり、脳の中枢でプロスタグランジンを作り出す酵素の合成を阻害し痛みを抑えたりすると考えられています。

解熱剤の形状には、肛門に挿入する坐薬 と口から服用する経口薬(粉薬、錠剤など)があります。

使うタイミング

解熱鎮痛剤は 発熱していなくても、喉痛や頭痛などを感じた時に、痛み止めとして使ってもかまいません。

新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みにも使用できます。

厚生労働省が発表した「新型コロナワクチンQ&A」には次のような記載があります。

市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。

出典:厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A」

注意点

・予防的に飲まない

解熱剤には発熱の予防効果があるわけではなく、予防的に服用するのは効能外となってしまいます。
また解熱剤にも副作用があり、胃に負担もかかります。予防的に飲むと、身体に悪影響をおよぼすリスクが高まります。

新型コロナワクチン接種後の発熱に関しても同様です。
厚生労働省は症状が出る前に、解熱剤を予防的に飲むことを推奨していません。

・ほかの解熱鎮痛薬や風邪薬と併用しない

ほかの解熱鎮痛薬や風邪薬と併用すると、作用が重複する成分が配合されている場合があり、過剰摂取で副作用が強く出る恐れがあります。

たとえばアセトアミノフェン は、100種類以上の市販薬に含まれるため、注意しないと気がつかないうちに過剰摂取になってしまう可能性があります。
アセトアミノフェンを含む薬剤を一度に複数飲むことで、摂取から数時間以内に胃腸炎、および1~3日後に肝毒性などの症状を生じる「アセトアミノフェン中毒」になる恐れもあります。

・容易に飲まない

身体は発熱により免疫系を高め、細菌やウィルスを退治していると考えられており、身体の防御反応のひとつです。そのため安易に解熱剤を使って熱を下げてしまうことで、感染を長引かせてしまう可能性もあります。

ただ、高熱でつらい、食事や水分が摂れない、睡眠がとれないなど、体力の消耗に影響しているときには服用するとよいでしょう。

解熱剤の解熱効果

解熱剤はどのくらいで解熱効果が出て、効果はいつまで続くのでしょうか。

ここでは解熱剤の解熱効果や副作用などについて詳しく見ていきます。

どのくらいで効果が出る?

個人差はありますが、たとえば医療用医薬品のカロナール® (アセトアミノフェン)では服用から30分~半日程度で効果が出るといわれています。

持続時間は?

一概には断定できませんが、医療用医薬品ではNSAIDsもアセトアミノフェンも服用から3~4時間効果が持続すると考えられています。

副作用はある ?

NSAIDsは、腎臓や肝臓、心臓などの臓器に影響を与える場合があります。
また熱や痛みを引き起こすと考えられているプロスタグランジンですが、実は胃の粘液の分泌を促すことで胃酸から胃壁を保護する役割も果たしているといわれています。

そのためプロスタグランジンの生成を抑える作用があるNSAIDsを長期的に飲むと、胃壁が荒れ、胃潰瘍(NSAIDs潰瘍)ができてしまうことがあります。
NSAIDsは、15歳未満は使えない薬が多いです。

一方のアセトアミノフェンは子供でも使えるとされていますが、まれに肝機能障害などを起こすことがあります。

解熱剤の選び方は?

genetsu4.png 解熱剤は熱や痛みを抑えてくれる、頼りになる存在です。

しかしながら、症状によって選ぶべきものが異なります。ここでは、解熱剤の選び方について紹介します。

とにかく熱を下げたい時

とにかく熱を下げたい場合はアセトアミノフェンの解熱剤がお勧めです。

市販薬には複数の有効成分を含むものが少なくありません。しかし有効成分の種類が増えると、その分副作用リスクも高まりますから、アセトアミノフェンの単剤がよいでしょう。

アセトアミノフェンは鎮痛作用が緩やかな一方、胃への負担が少ないメリットがあります。アセトアミノフェン製剤は15歳未満でも服用できるものもあります。

頭痛や喉の痛みなどの症状も和らげたい時

頭痛や喉の痛みなどの症状も和らげたい場合には、抗炎症作用のあるNSAIDsの解熱剤がおすすめです。

ただしNSAIDsは腎機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。腎障害がある人は、NSAIDsの使用は避けましょう。

子供が薬を飲めない時

薬を飲んでも吐いてしまう、薬が苦手など、口から薬を飲むことが難しい子供の熱を下げたいといった場合には、坐薬タイプの解熱鎮痛剤がおすすめです。

市販薬のほか、病院で相談すると医師の判断でアセトアミノフェン坐剤の処方を受けられます。
アセトアミノフェン坐剤には、1歳から使えるものもあります。インフルエンザに感染した際の解熱にも使われます 。

解熱剤が効かない要因

genetsu3.png 解熱剤を飲んでも効果が出ないことがあり、その場合は医療機関を受診するようにしましょう。

参考までに、解熱剤が効かない要因について一部をご紹介します。

熱が上がりきっていない

一般的に、解熱剤の解熱効果は0.5℃~1℃程度といわれています。

体温が上昇しているタイミングで解熱剤を使っても依然として体温は高く、解熱剤が効いていないように感じる場合があります。
熱が上がりきったかどうかを見極めるポイントは、全身のほてりと発汗の有無です。手足が熱くなっていなかったり、汗が出ていなかったりする場合、熱が上がりきっていない可能性があります。

水分不足

体内の 水分が不足していると汗が出ず、解熱剤の効果が十分に発揮されない可能性があります。

水分不足になっているかに関わらず、発熱時には水分を積極的に摂取することが大切です。ただし冷たい飲み物は身体への刺激になりかねないため、常温以上の飲み物を摂取するようにしましょう。

心因性の発熱

心理的な負担が原因で発熱することがあります。

子どもではいじめや学校生活、大人では過重労働や親の介護など、さまざまなストレス要因がありますが、心因性の発熱は「機能性高体温症」と呼ばれ、風邪などによる発熱とメカニズムが異なるため、解熱剤が効かないことがあります。

無理をせず、ゆっくりと休むことが必要です。

まとめ

解熱剤は正しく使えば、熱や頭痛、喉の痛みなどの症状を和らげてくれます。

ただし、予防的に服用しない、ほかの解熱剤や風邪薬と併用しないなどいくつか注意点もあります。また安易に解熱剤を使うと症状の回復が遅くなる場合があります。

熱が出たらまずは水分を十分に摂取し、ゆっくりと休むことが大切です。

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監修者: 木村 眞樹子医師

東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、 Webメディアで発信も行っている。

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