2024.06.28
健康

【医師監修】漢方薬の選び方を症状別に紹介!

目次

1. 漢方の選び方

・漢方における「証」は病気に対する抵抗力の物差しで、「虚」と「実」に分けられる

・「気・血・水」は不調の原因をはかる物差し

・漢方は体質を診る

・望診・聞診・問診・切診で体質や症状を診た上で、漢方薬が処方される

2. 漢方はどんな症状におすすめ?

・風邪

・花粉症・鼻炎

・胃腸の不調

・冷え性・更年期症

・肌トラブル

・お通じの悩み

・ストレス・不眠

・尿トラブル

3. 漢方について気になるQ&A

・漢方の口当たりや苦味が苦手です。何かいい方法はありませんか?

・漢方薬を他の薬と併用できますか?

・どのくらいの期間継続すればいいですか?

4. まとめ

漢方の選び方

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漢方薬は個人のタイプや体質に合ったものを服用することで、効果を実感しやすくなります。

そのため漢方は体質を6つのタイプに分け「証」で抵抗力の強さを測り、「気・血・水」を見て不調の原因を探ります。
そのうえで「四診(望診・聞診・問診・切診)」により症状を見極め、個人に合わせた漢方薬を処方します。

漢方における「証」は病気に対する抵抗力の物差しで、「虚」と「実」に分けられる

東洋医学では医師が5感と患者の自覚症状を元に診断・治療をしていきます。
東洋医学での診断・治療は病名を決めるのではなく「証」で抵抗力をはかります。
「証」は「虚」と「実」に分かれ、「虚」は抵抗力がない状態で「実」は抵抗力がある状態です。

「気・血・水」は不調の原因をはかる物差し

東洋医学では、人の体は「気・血・水」の3つの要素で構成されていて、これらのバランスが健康状態を決定すると考えます。

「気」は生命活動の根源となるエネルギーを、「血」は身体のなかにある赤い液体(血液)を、「水」は身体のなかにある血液以外のあらゆる液体をさします。

不調や病気は「気・血・水」の不足や偏り、滞りによって生じるものとし、診察では「気・血・水」をみて不調の原因をはかります。

漢方は体質を見る

漢方では体質を6つのタイプに分けます。

◎血虚タイプ: 「血」が不足しがち。冷えや貧血傾向にある。
◎瘀血(おけつ)タイプ: 「血」の巡りが悪く 、体に栄養素が巡らない。肩こりや関節痛を招きやすい。
◎気虚タイプ: 「気」が不足している。疲れやすく、胃もたれや軟便・下痢をしやすい。
◎気滞タイプ: 「気」の巡りが悪く停滞している。イライラや不安や憂鬱を感じやすい。
◎水滞タイプ: 水分代謝が悪く、「水」が体内で停滞している。 汗をかきやすく、軟便傾向にある。
◎陰虚タイプ: 「水」が不足し身体にうるおいがない。粘膜の乾燥や排便困難、排便痛、便秘などのトラブルがおきやすい。

タイプによって適した漢方も違うため、自分のタイプを知ることが大切です。

望診・聞診・問診・切診で体質や症状を診た上で、漢方薬が処方される

東洋医学では、独自の診断方法「四診(望診・聞診・問診・切診)」で処方する漢方薬を決定します。

◎望診(ぼうしん): 顔色や表情、姿勢、体型などを視診します。歩き方や舌、爪や肌の色、髪の毛なども参考にします。
◎聞診(ぶんしん): 声の大きさやトーン、話し方などを聞いたり口臭・体臭を嗅いだりして診察します。呼吸の長さや言語の乱れ、胃腸の音、分泌物のニオイなども参考にします。
◎問診(もんしん): 自覚症状や既往歴、アレルギーの有無や仕事、渡航歴などを患者に問います。熱や汗、食欲や大便の様子や色、小便の量や回数、色また月経の周期、量、痛みなども参考にします。
◎切診(せっしん): 患者の身体に触れて診察します。脈を診る脈診と腹部を押さえて診る腹診があります。

漢方はどんな症状におすすめ?

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風邪

比較的に体力があり・寒気や発熱をともなう風邪のひきはじめは【葛根湯】がよいでしょう。
葛根(カッコン)や大棗(タイソウ)、麻黄(マオウ)などの生薬が身体を温め、抵抗力をサポートしてくれます。

体力がない場合は、【桂枝湯(ケイシトウ)】、風邪 をこじらせたときや胃腸にも不調がある風邪の場合は【柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)】がおすすめです。

花粉症・鼻炎

鼻水が出るときには【小青竜湯(ショウセイリュウトウ)】で対処しましょう。体を温め、水分循環を促進することで花粉症の症状を改善してくれます。

慢性的な鼻炎には【荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)】がおすすめです。
たまった「気」によって生じる顔の余分な熱を冷ましながら鼻炎を改善する効果があります。
【荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)】は蓄膿症や中耳炎にも効き、にきびにも使われます。

慢性的な鼻炎のうち、鼻づまりがお風呂に入ると緩和される場合には【葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)】が適します。
鼻粘膜のむくみを取り除き、鼻づまりを改善してくれます。

胃腸の不調

胃腸の不調は、原因にあった漢方を選ぶことが大切です。

冷えやストレスからくる胃痛には【安中散(アンチュウサン)】で対処しましょう。
【安中散(アンチュウサン)】はもともと胃腸が弱い方に向いています。

吐き気があり、下痢の方には【五苓散(ゴレイサン)】がおすすめです。【五苓散(ゴレイサン)】は二日酔いにも効く漢方薬です。

冷え性・更年期症

手足の冷えには、【当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)】で対処しましょう。体を温め発熱をサポートすることで、末梢を温めるとともに、体の内部にも働き、冷えによる頭痛や腰痛などの症状を改善してくれます。

月経異常や手足の冷え症、しもやけなどは【当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)】がおすすめです。
更年期症状には【加味逍遙散(カミショウヨウサン)】が効果的です。【加味逍遙散(カミショウヨウサン)】は婦人科でも多く処方される薬剤の一つであり、生理不順や生理痛、更年期障害といった女性特有の症状によく用いられます。

肌トラブル

肌トラブルには【薏苡仁(ヨクイニン)】が効きます。
【薏苡仁(ヨクイニン)】は、ハトムギの種皮を除去したものを原料にした生薬です。

血の巡りが悪く、しみ、にきびに悩む方には【桂枝茯苓丸料加薏苡仁(ケイシブクリョウガンリョウカヨクイニン)】が効果的でしょう。
「血(けつ)」の流れを促進し、肌に栄養を巡らせてくれます。
ただし体の弱い方には向きません。

お通じの悩み

下痢には【五苓散(ゴレイサン)】がおすすめです。体力に関わらず使用できます。
残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催す"しぶり腹"は【桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)】で対処しましょう。
腹痛、下痢、便秘にも効果があります。

腸が過敏で腹痛や下痢を起こしやすい方におすすめなのが、【大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)】や麻子仁丸(マシニンガン)です。
【大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)】は体力に関わらず使用でき、繰り返す便秘に効果的です。
【麻子仁丸(マシニンガン)】は腸を刺激するとともに、腸をうるおして、便を軟らかくしてくれます。便が硬くスムーズに排便できない方に適します。

ストレス・不眠

不眠やイライラには【桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)】や【柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)】がおすすめです。

興奮しがちな方には【抑肝散(ヨクカンサン)】が効果的でしょう。
神経の高ぶりをおさえ、歯ぎしりや神経症、女性のホルモンの変動により生じる精神不安やいら立ちといった「血の道症」などを緩和してくれます。

尿トラブル

尿が出にくい方の排尿痛・残尿感には、【猪苓湯(チョレイトウ)】がおすすめです。排尿トラブルに広く用いられ、尿路の熱や腫れをひき尿の出を促す作用があります。

男性で夜間頻尿や四肢が冷えトイレに起きる方には、【八味地黄丸(ハチミジオウガン)】がよいでしょう。

漢方について気になるQ&A

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漢方の口当たりや苦味が苦手です。何かいい方法はありませんか?

先に水や白湯を口に含み、そこに漢方薬を落とし飲み込むとよいでしょう。舌に漢方薬が直接触れないようにすることで、漢方薬特有の風味を軽減できます。

オブラートに包んだり服薬ゼリーに混ぜたりして飲むのもおすすめです。

漢方薬を他の薬と併用できますか?

他の薬と漢方薬は併用されるケースもありますが、相互作用で副作用が強く生じる場合もあります。

併用する場合は、前もって医師、薬剤師 または登録販売者に相談しましょう。

どのくらいの期間継続すればいいですか?

適切な継続期間は漢方薬の種類や症状によって異なり、個人差もあるため、一概には断言できません。添付文書などに記載がある場合、その指示に従いましょう。

なお長期間飲み続けると身体への負担となり、思わぬ副作用が生じる場合があります。
たとえば「甘草」を含む漢方を長期間服用することにより低カリウム血症がおきやすくなります。
血液検査などをせずに漫然と飲み続けたりはせず、保険薬局や病院に相談しながら利用するようにしましょう。

まとめ

漢方は個別の悩みや症状を診るだけではなく、人間の体を全体的に診ます。そのためひとつの漢方薬が複数の症状をやわらげることもあります。

同じ症状でも、その方の体質によって適した薬は違うため、漢方薬を選ぶ前に、診断チャートなどを使って自分の体質を把握することが重要です。

また漢方薬も薬ですので副作用はあります。不調を感じたら飲むのをやめ、医師に相談しましょう。

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監修者:成田 亜希子医師

東京都出身、弘前大学医学部卒。
国立医療科学院や結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本健康教育学会所属。

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