ダニの種類について
ダニには様々な種類が存在します。種類によって生息場所や刺された時の症状の特徴が異なります。代表的なのがツメダニ・チリダニ・イエダニ・マダニです。
チリダニ
チリダニは、体長約0.2〜0.4mmの小さなダニで「ヒョウダニ」とも呼ばれます。主に室内の布団・カーペット・畳などのほこりがたまりやすい場所に生息しています。人を刺すことはありませんが、糞や死がいがアレルゲンとなり、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎など起こすことがあります。
ツメダニ
ツメダニは、チリダニなどを捕食して成長する体長約0.3〜1.0mmの捕食性のダニです。吸血はしませんが、誤って人を刺して体液を吸うことがあります。ツメダニに刺されると、翌日以降にかゆみや赤い腫れが出て、その後かゆみが1週間ほど続きます。
イエダニ
イエダニは体長約0.6〜1.0mmのダニで、主にネズミや鳥類に寄生しますが、人も吸血します。刺された直後からかゆみや赤い腫れが出るのが特徴で、わき腹、おなか周りなど皮膚の柔らかい部位が刺されやすいです。
マダニ
マダニは3~10mmの野外に生息するダニで、草むらや樹木などで動物に寄生しますが、人も吸血します。吸血の際、麻酔作用のある物質を含む唾液を注入するため、咬まれていることに気付かないことも少なくありません。無理に引き剥がすと、口器(口の部分)が皮膚の中に残り、炎症などを起こす危険があります。ウィルスを保有している個体に咬まれた場合、感染症を発症することがあります。
ダニに刺された時の症状は?
強い痒み・腫れ
ダニに刺されると、強いかゆみを伴う赤い発疹などの症状があらわれることがあります。刺された直後は自覚症状がないことも多く(遅延反応)、かゆみや赤い腫れが1週間程度続くのが特徴です。
しこり
ダニ刺されの特徴は、皮膚が盛り上がるような硬いしこり(丘疹)になることです。発疹は境界がはっきりしているのが特徴です。膿むことは比較的少ないですが、ほかの虫刺されと比べてしこりが残りやすく、症状が長引く傾向があります。
柔らかい場所や露出している部位が刺されやすい
ダニの種類によって異なりますが、柔らかい場所や衣服で覆われていない部位が刺されやすいです。イエダニは衣服の下の柔らかい部位(下腹部・腰・太ももの内側・腋の下など)を好み、ツメダニは腕や足などの肌が露出した部位を刺す傾向にあります。マダニは首・耳の裏・膝の裏・脚の付け根などを咬むことが多いです。
ダニ刺されを見分ける5つのポイント
基本的には室内で人を刺すダニはイエダニですが、ツメダニも偶発的に人を刺すことがあります。またノミやトコジラミなども人を刺すことがありますが、ダニ刺されとの見分けが難しいケースも少なくありません。
ダニ刺されとほかの虫刺されを見分けるためのポイントは、主に次の5つです。
1. 刺された部位
イエダニは、脇腹、太ももの内側など、露出が少なく皮膚が柔らかい部位を好んで刺しますが、ツメダニは手足や太ももなど、露出している部位を刺すケースが多いです。ノミは、低い位置から飛び跳ねてくるため、足やすねなど地面に近い部分を刺す傾向にあります。
トコジラミは、手や足、首など露出している部分を刺します。
膝より上の露出していない部位を刺された場合、イエダニによる仕業の可能性が高いでしょう。
2. 症状があらわれるまでの時間
虫刺されによって起こるかゆみや腫れなどの症状は、アレルギー反応によるものです。アレルギー反応には、症状がすぐにあらわれる「即時反応」と、時間が経ってからあらわれる「遅延反応」にわかれます。
ツメダニに刺された場合は遅延反応が起きるため、症状は遅れてあらわれる傾向にあり、イエダニの場合、刺された直後から症状があらわれるケースが多いです。ただしダニ刺されによる症状は免疫反応によるものなので個人差が大きく、イエダニに刺された場合にも症状が遅れてあらわれるケースがあります。
ノミの場合、症状があらわれるまでに時間がかかるケースが多く、噛まれてから1~2日後にかゆみや赤い発疹があらわれるのが通常です。
トコジラミに関しては、一般的に初めて刺された時は、2~3日後に症状があらわれ、繰り返し刺されると、数時間後に症状があらわれるようになります。
3. 症状の持続期間
ダニの場合、通常症状は1週間程度でひきますが、ノミに刺された場合1カ月ほど続くことが多いです。
トコジラミの場合は、1週間程度、強いかゆみが続きます。
4. 刺された跡
ダニやノミに刺されると、赤い斑点が狭い範囲にあらわれます。どちらも水ぶくれをともなうケースが少なくありません。
トコジラミに刺された場合も赤い発疹ができ、同じように狭い範囲に複数の刺し跡が残ります。
ノミやトコジラミの場合、刺し跡の輪郭がぼやっとしていますが、ダニの場合、はっきりしていることが多いです。
5. 刺された時間帯
ダニやトコジラミは夜行性で、主に夜間に活動するといわれています。他方でノミの活動時間は主に昼間です。夜間に、パジャマの中など、肌が露出していないカ所を刺された場合はダニが原因と考えられます。
ダニに刺されやすい人の特徴
以下のような特徴を持つ人はダニに刺されやすいです。
・ 肌が柔らかい
ダニは、口を刺して吸血するため、肌が柔らかい方は刺されやすいです。つまり大人よりも子どもが、男性よりも女性が狙われやすいといえます。
・ 汗をかきやすい
体温が高く汗をかきやすい人は、ダニに刺されやすい傾向にあります。ダニは高温多湿の環境を好むためです。運動後や厚い時期などは発汗も増えるため、普段あまり汗をかかない人も注意が必要です。
・ 飲酒習慣がある
ダニは二酸化炭素を感知して近づく習性があります。飲酒すると、体内でアルコールが代謝される過程で二酸化炭素が発生し、呼吸とともに放出されます。そのため、アルコールを日常的に摂取する人は、ダニに刺されやすいのです。
ダニ刺されによる腫れやかゆみなどの皮膚トラブルはアレルギー反応によるものですが、それとは別に「ダニアレルギー」による症状があらわれることもあります。
ダニアレルギーとは、ダニの死骸やフンに含まれるタンパク質が原因でおこるくしゃみ、鼻水、目のかゆみ、咳、喘息といった症状です。ダニアレルギーの主な原因になるヒョウヒダニはチリダニとも呼ばれ、室内のホコリに多く含まれるため、完全に防ぐのは困難です。
ダニに刺されたらどうすればいい?
室内のダニに刺されたら、かゆみや赤み、腫れの程度を確認しましょう。
腫れがそれほど強くなく、痛みもない場合は、ステロイド外用剤を使用することで炎症が鎮まり、腫れやかゆみなどを軽減できます。ステロイド外用剤には市販薬と処方薬があります。
また、患部をかき壊した場合は細菌感染のリスクがあるため、抗生物質を配合したステロイド外用剤を使用しましょう。
マダニが吸血している途中に発見した時は、自分で引き剥がそうとしてはいけません。無理に引っ張ると、マダニの一部が皮膚の内側に入ることで症状が悪化する可能性があるため医療機関を受診して適切な処置を受けることが大切です。
マダニが自ら刺すのをやめてから刺されたことに気づいた場合は、数週間は体調の変化に注意し、発熱や頭痛、筋肉痛など何らかの症状が認められた場合は医療機関を受診しましょう。
1.市販薬を塗る
ダニに刺された場合、軽症なら市販薬で対応可能です。
炎症がある場合、ステロイド入りの塗り薬が効果的です。ベタメタゾン吉草酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステルなどが配合されているものをチョイスしましょう。
かゆみがある場合は、抗ヒスタミン剤や局所麻酔成分入りのかゆみ止めがおすすめ。
また、一刻も早くかゆみを抑えたい場合は、即効性のあるクロタミトンやリドカインが入っているものを選びましょう。
ただ、メントールやカンフル入りものは、スーッとした清涼感がありますが、刺激が強いため、子どもや顔に使用する際は注意が必要です。
炎症もかゆみも、市販薬で症状が収まらない場合は、早めに皮膚科を受診することが大切です。
2.医師に相談する
室内のダニに刺された場合でも、大きく腫れてしまった、痛みが強い、腫れや炎症などの症状が広い範囲に出ている場合は医師に相談しましょう。
また、症状が長引く場合も細菌感染が起きている可能性があるため、医師に相談する必要があります。
まずは、ダニに刺されないように予防を意識することも大切です。
ダニ刺されを予防するためには?
室内のダニに刺されないようにするためには、発生しやすい時期と場所を理解した上で対策することが重要です。
室内でダニが発生しやすい時期と場所について、詳しく見ていきましょう。
1.高温多湿にならないように温度管理する
ダニは、高温多湿な環境を好みます。
もっとも発生しやすいのは、温度25℃前後で湿度75%前後の環境といわれています。そのため、6~9月ころの高温多湿の時期は、普段以上にダニ対策に力を入れることが大切です。
冬でも、加湿器を過剰に使用していたり、エアコンで室温を25度前後に維持していたりする場合は、ダニが発生しやすくなります。室温と湿度については、年中を通してこまめに確認しましょう。
2.布団やカーペットをクリーニングする
ダニは、ホコリやカビ、食べカス、人のフケや垢などを餌に繁殖するため、布団やカーペットなどに発生しやすいとされています。
布団やカーペットをこまめに掃除しない場合、ダニのエサが大量にある状態が続くため、ダニにくり返し刺される可能性があります。
ダニ対策で布団に掃除機をかける時は、強すぎない吸引力でゆっくりヘッドを動かすのがポイントです。裏面も忘れずにかけましょう。表面のホコリや髪の毛は、粘着ローラーで取り除くのもよいでしょう。
カーペットは特にホコリがたまりやすいため、できれば毎日掃除機をかけるようにしましょう。パイルが長いカーペットの場合、奥のほうに沈んだホコリは、表面に掃除機をかけてもとれません。パイルの逆目から毛を立てるように掃除機をかけると、効率的にダニのエサとなるホコリを除去できます。
布製のソファやカーテンなど、布製品であればどこでもダニが発生しやすいといえます。
床だけではなく部屋全体の掃除もしっかり行うことで、徐々にダニが繁殖しにくくなっていきます。
3.布団乾燥機をかける
ダニは1mm以下の大きさで肉眼ではほとんど見えません。
そのため、ダニに刺された時点で、その部屋全体に対策する必要があります。ダニが生息しているカーペットや畳、布団などにダニ駆除剤のスプレーを吹き付けることで駆除できます。
また、部屋のすみずみに潜むダニには、くん煙剤が効果的です。駆除成分を含む煙が部屋のすみずみにまで行き渡り、手が届かないところに生息するダニも駆除できます。ただし、ダニは死骸やフンによるアレルギーが懸念されるため、駆除剤を使用した後に掃除機をかけることが大切です。
また、布団はより重点的に対処する必要があります。ダニを駆除するには布団を高温にする必要があるため、天日干しをする方もいますが、ダニは死滅しません。布団のダニには、布団乾燥機が効果的です。
布団掃除機であれば、布団の中央部を50℃程度にまで上げられるため、ダニを死滅させることができます。
よくある質問
まとめ
ダニに刺されると、刺された場所に赤みやかゆみがあらわれることがあります。
ダニに刺された場合は、ステロイド外用剤によって症状を軽減できます。
しかし、感染症を媒介する場合があるため、発熱や頭痛などの症状があらわれた際は医療機関を受診しましょう。
定期的な掃除や換気をするなど、なるべくダニに刺されないような環境を維持することを心がけましょう。
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監修者: 松澤 宗範医師 |
2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 新宿院院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 院長
2024年7月 肌管理クリニック
2025年12月 アウラニクリニック統括院長