ビタミンCとは何か
ビタミンCは「体の調子を整える」栄養素であるといわれています。
外界からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ粘膜の健康を保っているほか、「体の錆(さ)び」ともいわれる細胞の酸化を防いで、がんや動脈硬化を予防する効果が期待されるなど、体のあらゆる場所で非常に重要な役割を担っています。
これほど大切であるにもかかわらず、人間は体内でビタミンCをつくり出すことができません。また、水に溶けやすく、食材を長時間水にさらすなどすると大幅に減少してしまいます。
そのため私たちは調理に注意しながらうまく食事に取り入れ、ビタミンCをコンスタントに摂取し続ける必要があります。
ビタミンCの役割
ビタミンCは、人間の体の中でどのような働きをしているのでしょうか。まず、ビタミンCの役割について解説します。
フリーラジカルによるダメージから細胞を守る
ビタミンCの重要な役割の一つに、細胞に損傷を与える「フリーラジカル」から体を守る働きがあります。
フリーラジカルは細胞に損傷を与えて体を酸化させることから、がん、心血管障害、糖尿病、白内障など、さまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。
フリーラジカルは、摂取した食べ物が体内でエネルギーに変わる時に発生するため、その発生を避けることができません。また、大気中のタバコの煙や大気汚染、紫外線によっても発生するため、気がつかないうちに私たちの体の中に入り込んできます。
そのため、フリーラジカルから体を守ってくれるビタミンCは、私たちが健康でいるために必要不可欠な栄養素といえるでしょう。
肌の健康維持や貧血対策
ビタミンCは、皮膚や筋肉、細胞を維持するうえでも必要不可欠です。
たとえば、肌を構成する主要な成分の一つにコラーゲンがあります。コラーゲンはご存知のとおり肌のハリや弾力を保つ働きがありますが、ビタミンCはこのコラーゲンの合成に欠かせません。そのため、ビタミンCが不足するとコラーゲンが十分に合成できず、ハリがなくなったり、肌の保湿力が低下して乾燥が生じたりしてしまいます。
また、ビタミンCは鉄分の吸収を助ける働きがあります。
私たちが摂取する鉄分の85%以上が植物性食品の鉄分(非ヘム鉄)ですが、吸収率が低いというデメリットがあります。そのため貧血を防ぐには、鉄分と一緒にビタミンCを摂取し、少しでも吸収率を上げることが大切です。
ビタミンCは1日にどれくらい摂取するべき?
ビタミンCは、日々の食事からこまめに摂取することが必要です。ここでは、ビタミンCの1日の推奨摂取量について解説します。
1日の推奨摂取量
ビタミンCの推奨量は年齢によって異なり、成人では1日の推奨量が100mgと設定されています。また、水溶性のため余分に摂取しても尿として排出されることから、通常の食事による過剰症の報告はなく、耐容上限量は定められていません。
表1. ビタミンCの推奨量(mg/日)
| 性別 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 年齢など | 推奨量 | 推奨量 |
| 0~5(月) | ― | ― |
| 6~11(月) | ― | ― |
| 1~2(歳) | 40 | 40 |
| 3~5(歳) | 50 | 50 |
| 6~7(歳) | 60 | 60 |
| 8~9(歳) | 70 | 70 |
| 10~11(歳) | 85 | 85 |
| 12~14(歳) | 100 | 100 |
| 15~17(歳) | 100 | 100 |
| 18~29(歳) | 100 | 100 |
| 30~49(歳) | 100 | 100 |
| 50~64(歳) | 100 | 100 |
| 65~74(歳) | 100 | 100 |
| 75以上(歳) | 100 | 100 |
| 妊婦(付加量) | ― | +10 |
| 授乳婦(付加量) | ― | +45 |
1日に必要な量を分けて摂取しよう
ビタミンCは一度に吸収できる量が決まっており、一定量を超えた分は尿で体外に排泄されてしまいます。つまり、ビタミンCは一度に大量に摂取しても意味がなく、1日のなかで分散して摂取することがポイントになります。
朝・昼・晩の食事のたびに、ビタミンCが豊富な食材を取り入れられるのが理想ですが、忙しい現代人にとってはハードルが高いかもしれません。
その場合は、あまり難しく考えすぎず、よい食材を食べられるタイミングでしっかり食べ、そのほかのタイミングではサプリメントを活用するなどの工夫をしていきましょう。
ただサプリメントは過剰摂取につながる可能性があるため、1日の摂取量の目安を守って摂取することが大切です。
ビタミンCが多く含まれる主な食品
ビタミンCを効率よく摂取するには、ビタミンCを多く含む食材を知ることが大切です。
どの食品にどれくらいのビタミンCが含まれているのでしょうか。下記の表に食品100gあたりのビタミンC含有量についてまとめました。日々の食材選びの際に参考にしてみてください。
可食部100gあたりのビタミンC含有量
| 食品名 | ビタミンC(mg) |
|---|---|
| キウイフルーツ(緑肉種) | 71 |
| キウイフルーツ(黄肉種) | 140 |
| 柿 | 70 |
| みかん | 33 |
| ブロッコリー(ゆで) | 55 |
| ピーマン | 76 |
| パプリカ(赤) | 170 |
| モロヘイヤ | 65 |
| 水菜 | 55 |
| かぶの葉 | 82 |
参考:文部科学省,日本食品標準成分表(八訂)増補2023年などから算出
ビタミンCは、上記の表で紹介した野菜や果物以外にもさまざまな食品に含まれています。野菜類や果物、イモ類などをバランスよくとり入ることで、必要量を無理なく摂取することができるでしょう。
ビタミンCは水に溶けやすい
ビタミンCは水に溶けやすいため、調理方法には注意が必要です。
野菜やイモ類をゆでたり、煮たりすると、水を使うのでビタミンCが溶け出してしまいます。
調理によるビタミンCの損失を減らすには、ゆでる・煮るより、蒸すか、電子レンジによる加熱のほうがおすすめです。電子レンジは加熱時間が短くなるのもメリットといえます。
水に溶けやすいという性質にあった料理としては、スープやみそ汁があります。溶け出したビタミンCをまるごと飲むことができ、栄養素をムダなく摂取できます。
不足しがちなビタミンC
炭水化物や肉類などのタンパク質中心の食事をしていると、ビタミンCが不足しやすくなります。そのような方は、まず、日々の食事に野菜や果物を取り入れることを心がけましょう。
その際、可能ならば、追加するのは生野菜サラダよりも、温野菜サラダや野菜炒めのほうがよいといえます。
野菜や果物の細胞は、水に溶けないセルロースでできた細胞壁で覆われており、ビタミンCなどの栄養素はその中に入っています。栄養素を吸収するにはこの壁を壊して、中身を取り出さなければなりません。ところが、人間の消化酵素は細胞壁を分解できないため、生で食べるとビタミンCなどの吸収率が大幅に下がってしまうのです。
一方、加熱調理をすると細胞壁が壊れ、栄養素が流れ出してくることから、より多くのビタミンCを吸収できるようになります。
ビタミンCが不足するとどうなる?
ビタミンCが不足した状態が続くと、「ビタミンC欠乏症」が引き起こされることがあります。主な症状は、疲労・倦怠感、筋力低下、イライラなどです。
この症状が進むと、「壊血病」となります。このころには、あざが消えない、皮下や歯茎からの出血がある、貧血が続く、心臓機能の低下、呼吸困難など、深刻な不具合が生じます。
体と精神の両方をむしばむこの恐ろしい病は、新鮮な果物や野菜不足による恒常的なビタミンCの欠乏によって引き起こされることが今ではわかっています。
しかし、15世紀に始まった大航海時代においては、長期間の航海の際に、乗組員たちはビタミンが著しく欠かれていた保存食だけを食べていました。そのため約200万人の船乗りが命を落としたと推定されています。
今日では壊血病はビタミンCの投与によって治療できるため、過剰に恐れる必要はありません。しかし、日ごろからバランスのよい食事を心がけ、ビタミンCを1日当たり10mg程度摂取していれば、発症することはありません。
まとめ
ビタミンCの役割や効率よく摂取する方法についてお分かりいただけたでしょうか。
ビタミンCは、私たちが健康でいるために重要な働きをしている栄養素の一つです。
ビタミンCはさまざまな食材に含まれていますが、水に溶けやすく、1日のなかで複数回に分けて摂取したほうがよい、野菜や果物のビタミンCは加熱して食材の細胞壁を壊すことで効率的に吸収できるといった特徴があります。
毎日の料理の際に、ビタミンCの吸収を促進する調理方法を取り入れたり、食材選びを工夫してみてください。
ただし、無理は禁物です。忙しい時は、カット野菜や、カットフルーツ、果物の缶詰など下処理が必要ないものを選んだり、サプリメントを利用していきましょう。
ご自身のライフスタイルに合った形で、少しずつよりよい食生活を送れるとよいですね。
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監修者: 木村 眞樹子医師 |
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、Webメディアで発信も行っている。