2024.11.14
健康

【医師監修】ノロウイルス感染症の原因・症状・予防法について

ノロウイルス感染症とはどんな病気?

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ノロウイルス感染症とは、ウイルス性の感染症で、嘔吐や吐き気、下痢、軽い発熱などの症状が現れます。
腹痛、頭痛、悪寒、倦怠感などが見られるケースもあります。

通常は1~2日で自然に回復しますが、乳幼児や小さな子ども、高齢者、基礎疾患のある人などの場合は嘔吐や下痢が続き、脱水症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。

こうした症状が見られた場合、周囲の感染状況なども加味し、総合的にノロウイルスによるものかどうかが推定されます。
実際にノロウイルス感染症になっているかどうかは「ノロウイルス抗原検査」や「PCR検査」などで、原因菌の特定をしないとわかりません。

ヒトへの感染経路は主に「経口感染」で、感染者の吐しゃ物や便、ウイルスが付着した物品などを介して感染する「接触感染」や、ノロウイルスの含まれた飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」などがあります。そのほか「空気感染」も報告されています。

ただしノロウイルスの空気感染とは、結核などの空気感染とは異なります。結核の場合はウイルスが広範囲に拡散することで感染しますが、ノロウイルスは狭い空間で感染者の吐しゃ物や便が乾燥し空気中に舞ったものを吸い込むことで感染します。

ノロウイルス感染症の特徴とは

ノロウイルスは、ロタウイルスとともに、感染性胃腸炎の原因ウイルスとして知られています。
ロタウイルスによる感染症は冬場から春先にかけて流行するのに対し、ノロウイルスによる感染症は秋口から春先にかけて流行するのが特徴です。

国立感染症研究所による「月別ノロウイルス等検出状況」(2022/23シーズン)によると、毎年11月ころから検出数が急激に増えはじめ、3月末ごろまで多く検出されています。

冬場にノロウイルス感染症が増える理由としては、気温と湿度が関係していると考えられています。
ノロウイルスは低温・低湿度の環境で感染力を増します。
乾燥している冬場は鼻や喉の粘膜を保護するバリア機能が低下し、感染症にかかりやすくなるのです。

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e-Stat 政府統計の総合窓口 から独自作成

ノロウイルス感染症の原因

ノロウイルス感染症の典型的な原因は、ノロウイルスに汚染された食品の摂取です。
特に牡蠣などの二枚貝を十分に加熱せずに摂取し、食中毒になるパターンが多く見られます。
しかし、これ以外でもノロウイルス感染症になる可能性があります。主な例を紹介しましょう。

  • 感染者の糞便に直接触れる
  • 感染者が排便後、十分に手を洗わずに触わったドアノブに触れる
  • 感染者の吐しゃ物が飛散した際などに、ノロウイルスの含まれた飛沫を吸いこむ
  • 感染者の糞便や吐物が乾燥し、埃とともに空気中に舞ったものを吸い込む

ノロウイルス感染症の潜伏期間・症状

ノロウイルスに感染したからといって、すぐに症状があらわれるわけではありません。
潜伏期間は24~48時間であり、発症すると以下のような症状が1~2日間続きます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢や腹痛
  • 発熱
  • 食欲低下など

風邪のような症状ですむケースもある一方で、重症化すると、下痢による脱水症状などを招くこともあります。
なお、感染しても必ず発症するわけではなく、無症状のケースもあります(不顕性感染)。

ウイルス自体の特徴

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ノロウイルスは感染力が高いのが特徴で、少量(10~100個程度)のウイルスでも感染・発症します。
乾燥や熱にも強く、アルコール消毒も効きにくい特性を持ちます。

ノロウイルスを含むウイルスの構造は、エンベロープと呼ばれる脂質でできた膜を持つ「エンペローブウイルス」と、そうでない「ノンエンベロープウイルス」に分かれます。
エンペローブウイルスはアルコール製剤が効きやすく、ノンエンベロープウイルスはアルコールが効きにくいといわれ、ノロウイルスは後者の仲間です。

ただ、アルコール消毒剤のなかにはノロウイルスに対する不活化効果を期待できるものも存在するとの報告もあります。

ノロウイルス感染症にかかってしまったら

現時点ではノロウイルス感染症に有効な薬はなく、対症療法が中心です。
症状にあわせて、吐き気止めや解熱剤を使用します。

抵抗力の弱い乳幼児や高齢者がノロウイルス感染症にかかった場合、脱水症状を起こすことが少なくありません。一度に大量に水分を摂取すると、体内の電解質のバランスが崩れ体調が悪化するおそれがあるため、少量ずつこまめに水分補給をするのがポイントです。

乳幼児の場合、冷たい飲み物を与えると胃腸の働きが低下し、食欲が落ちてしまうことがあります。湯冷ましや薄めの麦茶などを少量ずつ与えましょう。

脱水症状がひどい場合には、病院で点滴を受ける必要があります。
下痢止めは使用しないようにしましょう。
下痢を止めてしまうとウイルスが腸から排出されず、回復が遅れるおそれがあるためです。

どれくらいで治る?

ノロウイルス感染症は、成人の場合1~2日で治るのが一般的です。
乳幼児の場合、下痢や腹痛、嘔吐などの症状が治まり、全身状態が良好になれば治ったと判断してよいでしょう。
症状回復後もノロウイルスの感染力は1週間ほど続くため、症状が消えたからといって感染対策をやめないことが大切です。

汚物処理のポイント

汚物処理に必要なものは塩素系漂白剤調整液、使い捨てマスク、使い捨て手袋、シューズカバー、プラスチック袋 、ペーパータオル、バケツなどです。プラスチック袋は一次回収用と二次回収用の最低2枚用意する必要があります。

汚物処理の際には以下の点に注意しましょう。

  • 感染者の便、吐しゃ物には触れない
  • 触れてしまった場合にはしっかりと洗浄・消毒する
  • 吐しゃ物などで汚染された衣類などは、ビニール手袋やマスクを着用して処理する
  • 吐しゃ物などで汚染された衣類などはほかの衣類と別に洗う
  • 吐しゃ物などを処理した雑巾などの用具類は、塩素系漂白剤でつけ置き洗いをする
  • 汚物の片づけが終わったら、しっかりと手を洗う

感染拡大を防ぐ方法

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ロタウイルスによる感染症は予防接種ワクチンがありますが、ノロウイルス感染症のワクチンはありません。
ノロウイルスの感染拡大を防ぐためにまずは手洗いを徹底し、手指に付着したウイルスを減らすことが有効です。特に以下のシーンでは石鹸で念入りに手を洗う必要があります。

  • 食事の前
  • トイレに行った後
  • 調理前
  • 下痢などの患者の汚物処理やオムツ交換などをした後

牡蠣などの二枚貝を食べる際は、しっかりと熱を通すことが大切です。
食品の国際基準を作る国際機関「コーデックス委員会」が2012年に作成した「 食品中のウイルスの制御のための食品衛生一般原則の適用に関するガイドライン 」では、二枚貝に蓄積されたウイルスは、内部温度85~90℃、90秒以上熱を通すと、死ぬとされています。

家族など身近な人がノロウイルス感染症にかかった場合、環境の消毒を徹底することも大切です。ドアノブや手すりなど頻繁に手が触れる場所はこまめに除菌しましょう。

食器などは、洗剤で洗浄した後に、85℃以上の熱湯で1分以上加熱するか、塩素消毒液に浸して消毒する必要があります。
絨毯や布団など、高温加熱による消毒が難しいものは低温加熱で不活化させる方法があります。
45℃で一夜、50℃で6時間、55℃で2時間、60℃で1時間過熱すると、ノロウイルスが不活化することがわかっています。浴槽などを使って、消毒しましょう。

まとめ

ノロウイルス感染症は冬場に流行する感染症です。下痢や嘔吐、腹痛などの症状が見られ、成人では通常1~2日で治ります。主な感染経路は経口感染で、牡蠣などの二枚貝を十分に加熱せず食べることでうつるケースが多いといわれています。ノロウイルス感染症には特効薬はなく、対症療法で対応します。無症状でも感染しているケースがあるため、身近な人に症状がある場合は注意しましょう。

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監修者: 伊藤 幹彦医師

内科・皮膚科医(日本外科学会認定外科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医)
東京医科大学八王子医療センターなどで心臓血管外科として勤務後、東京警察病院外科医長に。2010年に伊藤メディカルクリニックを開業し、心臓血管外科を専門とし、高血圧や糖尿病、AGAなど幅広く対応している。「みなさまの健康を生涯にわたってお守りするよきパートナーとして、わかりやすく、丁寧な診察に努める」がモットー。

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