食欲不振とは
食欲不振とは、食事をしていないのに空腹感がない状態のことです。通常、食事をとらない時間が続くと血糖値が低下し、胃が収縮して空腹を感じます。同時に、脳の視床下部の摂食中枢が刺激されて空腹感を覚えるものですが、食欲不振の方は何らかの理由で空腹感を覚えなくなっています。
精神的・身体的ストレスによって食欲が一時的に失われることがあるものの、数日以内に改善することがほとんどです。食欲不振が数日以上続く場合は、心身の問題や薬の副作用などが原因の可能性があります。
食欲不振が続くと低栄養状態になり、体力や免疫力を低下させるだけではなく精神面にも影響を与えるため、早めの対応が必要です
食欲不振の際に現れる症状
食欲不振の典型的な症状は、食べはじめるとすぐにお腹が張る、それほど食べていないのに満腹感が生じるなどです。
それ以外にも、たとえば消化器系の不調が原因であれば、胃の痛みや吐き気、下痢、胸やけ、げっぷなどが見られます。
うつ病や不安障害といったこころの病気によって摂食中枢が鈍っている場合は、食欲低下に加えて味覚障害を引き起こすこともあります。
食欲不振の原因
食欲不振の原因は、消化器の不調から感染症、精神的な問題までさまざまです。なぜ食欲不振が起きるのか、原因について詳しく解説します。
食欲不振の原因①:消化器の不調
消化器系の不調は、食欲不振を引き起こす一般的な原因の1つです。代表例として、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が挙げられます。ピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が原因で、胃や腸の粘膜が損傷することで発生します。
この損傷が食事の際に痛みや不快感を引き起こし、食欲を低下させる要因となります。
さらに、胃腸の不調が続くと、食べること自体がストレスとなり、摂食意欲が減少する場合もあります。消化器系の問題は、適切な診断と治療が求められるため、症状が続く場合には医療機関を受診することが重要です。
食欲不振の原因②:感染症
細菌やウイルス、寄生虫による感染症も、食欲不振を引き起こす原因の1つです。病原体が腸に侵入すると、腸内に炎症を引き起こし、消化吸収機能に影響を与えます。炎症によって腹痛や下痢、発熱などの症状が現れ、食欲が低下します。
たとえば、ノロウイルスやサルモネラ菌による胃腸炎は、短期間で重い症状をもたらすことがあり、回復後もしばらく食欲が戻らないケースも少なくありません。感染したかも? と疑わしい時には、医療機関をなるべく早く受診し、適切な治療を受けましょう。
食欲不振の原因③:その他
精神的な問題も食欲不振の原因です。たとえば、うつ病では、抑うつ気分や興味の喪失が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすことがあります。食事への関心が薄れ、食欲が大幅に低下することが一般的です。
また、若い女性に多い神経性やせ症(拒食症)も、食欲不振の一因です。強いストレスを体験した後やダイエットが契機となり、食事を拒否する行動を取るようになります。胃腸の不調が併発することもあり、悪循環に陥るケースが少なくありません。
食欲不振の原因を特定するためのチェック項目
食欲不振の原因は、医療機関で診察や検査を受けた上で医師が診断します。原因を特定するためのチェック項目は、「症状」と「生活環境」に分かれています。それぞれ詳しくみていきましょう。
①:症状に関するチェック項目
食欲不振の診断における症状に関するチェック項目は下記のとおりです。
②:生活環境に関するチェック項目
食欲不振の診断における生活環境に関するチェック項目は下記のとおりです。
食欲不振の改善方法
食欲不振を改善するには、原因に応じた治療が必要です。たとえば、急性胃腸炎が原因の場合は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。治療法・薬の例は下記のとおりです。
また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合には、出血や穿孔といった症状への対応が優先されます。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因であれば、除菌治療をおこないます。非ステロイド性抗炎症薬やアスピリンなどが原因の場合、必要に応じて服用の中止を検討します。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療薬の例は下記のとおりです。
食欲不振の改善には生活習慣の見直しも効果的です。規則正しい生活を心がけ、自律神経を整えることで、体の調子をよくしていくことができます。下記のポイントを押さえて、生活を見直しましょう
まとめ
食欲不振は、一時的なストレスや体調不良から深刻な病気まで、さまざまな原因で引き起こされます。食欲が低下した場合、ほかにあらわれている症状や生活環境を確認し、原因を特定することが重要です。症状が数日以上続く場合や、体重減少や精神的な不調がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。適切な治療と生活習慣の見直しによって、症状の改善が期待できます。食欲不振に悩んでいる方は、専門家のサポートを受けながら改善を目指してください。
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監修者: 伊藤 幹彦医師 |
内科・皮膚科医(日本外科学会認定外科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医)
東京医科大学八王子医療センターなどで心臓血管外科として勤務後、東京警察病院外科医長に。2010年に伊藤メディカルクリニックを開業し、心臓血管外科を専門とし、高血圧や糖尿病、AGAなど幅広く対応している。「みなさまの健康を生涯にわたってお守りするよきパートナーとして、わかりやすく、丁寧な診察に努める」がモットー。