新生活でストレスを感じる原因
マイナビの調査によると、新生活で、約8割の人がストレスを感じています。ストレスにもさまざまなものがありますが、新生活におけるストレス要因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは新生活でストレスを感じる原因について、3つ解説します。
人間関係の変化
新生活では進学や転職、配置転換により、それまでの慣れ親しんだ環境から離れ、新たな人付き合いが必要となる場合があります。特に初対面の人とのコミュニケーションでは、価値観の違いなどから、ストレスを感じるケースが少なくありません。
新しい生活がはじまったばかりの時期は、気軽に相談できる相手もおらず、悩みを一人で抱え込んでしまいがちです。未経験の業務を任され、プレッシャーや不安を感じることもあるでしょう。こうした心理的負担が、ストレスの原因になります。
生活リズムの変化
新しい生活では、それまでと生活パターンが大きく変化することがあります。
たとえば職場や学校が変わると、通勤や通学にかかる時間も変わり、それにあわせて起床時間や就寝時間も調整しなければなりません。新しい生活サイクルに慣れるまでは、寝つきが悪くなったり睡眠の質が変化したりするケースもあるでしょう。また食事のタイミングも変わることもあります。特に新生活がスタートして間もないころは、やるべきことに追われ、食事のタイミングも不規則になりがちです。
生活リズムの変化は自律神経の乱れにつながり、頭痛、胃腸の不調、不眠などの身体症状を引きおこし、ストレスを生む原因となる場合があります。
住環境の変化
住環境の変化は、日々の暮らしに深くかかわるため、ストレスに直結します。
たとえば、日当たりが変わったり騒音が増えたり、ニオイが変わったりすることで、睡眠の質の低下を招き、ストレスにつながることがあります。
特に引越しをともなう場合、荷造りや荷解きといった労力を要する作業に加え、転居届けや転出・転入届けなど、役所関係の手続きが必要です。
新しい通勤・通学ルートの把握や近隣の施設の確認など、新しい環境への対応もしなければなりません。
こうしたことが、心理的・身体的なストレスの原因になるわけです。
新生活のストレスを和らげる方法
新たな環境下でストレスを和らげるのは、意外と難しいものです。実際、新生活でストレスを感じているものの、うまく対処できないと感じている人は多いとのデータもあります。
「やけ酒」「やけ食い」という言葉がありますが、ストレス解消のために過剰に飲酒したり、大量に食べたりすると、アルコール依存症や肥満などにつながります。
ここでは、今すぐできる新生活のストレスを和らげる方法について解説します。
観葉植物を置く
植物を置くことで副交感神経が優位になり、自然とリラックス状態へと導かれることが明らかになっています。人の視界に占める緑の割合を示す「緑視率」が高くなるほど、ストレス軽減効果が得られるそうです。
植物のストレス解消効果を高めるには、植物を視界に入る場所に設置するのがポイントです。自宅であれば、リビングテーブルの上や壁際、オフィスであれば、デスク周りなど、日常的に目に入る場所へ設置しましょう。
本物の植物を設置するのは難しい場合には、フェイクグリーンでも一定のストレス軽減効果が期待できるといわれています。
栄養バランスに気を配る
ストレス解消法として見落とされがちなのが「食事」です。心身の健康には、栄養バランスを考えた食事を、一日三食きちんと摂ることが欠かせません。
積極的に摂取したい栄養素として、たとえば幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の材料になる「トリプトファン」が挙げられます。
トリプトファンは必須アミノ酸であり、体内では合成できません。意識して食べ物から摂取することが大切です。魚や大豆製品に多く含まれます。
ビタミンB群も重要です。
代謝ビタミンとも呼ばれるビタミンB群は、脳のブドウ糖をエネルギーに代謝する働きなどを担います。
ビタミンB群はドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった脳の神経伝達物質の分泌にも深くかかわるため、不足するとイライラや気分の落ち込み、注意力の低下などを引き起こします。
ビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種類があり、特にビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンへの合成を促進する働きを持ちます。
ビタミンB群は相互に補完しながら作用するため、偏りなく摂取することが重要です。
たとえばビタミンB1は豚肉や玄米などに、ビタミンB2はレバーやきのこ類などに、ビタミンB6は魚類や鶏卵、バナナなどに多く含まれます。
日光を浴びる
太陽の光を浴びると、セロトニンの分泌が促進され、ストレスが緩和されることがわかっています。
特に朝光を浴びると体内時計が整い、夜の睡眠の質が高まります。起床後30分以内に、15~30分程度の光を浴びると、より効果的とされています。光を浴びることは冬季うつ病の治療法としても有効性が認められています。
また、太陽の光といっても、直射日光である必要はありません。起床後すぐにカーテンを開けて間接的に光を浴びるだけでも効果が期待できます。
通勤や通学の際に日当たりのよい道を通ったり、昼休みに短時間外に出たりするなど、意識的に日光に当たる習慣を取り入れるとよいでしょう。
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ストレスが体に与える悪影響
ストレスが続くと、メンタル不調につながります。まず活気が低下し、元気がなくなってきます。ストレス状態が慢性化するとイライラや不安感を覚えるようになり、最終的にはうつ状態になることもあります。
下痢や便秘、関節の痛みや、消化器系の不調など身体への悪影響が生じることも少なくありません。「ストレスで胃に穴が開く」といいますが、胃潰瘍はストレスが原因で生じる疾患のひとつです。
またストレスが長期化すると「コルチゾール」と呼ばれる抗ストレスホルモンが、副腎皮質から分泌されます。
コルチゾールは本来ストレスと戦うホルモンですが、過剰に分泌されると副腎皮質が疲弊し、コルチゾールが分泌されにくくなります。結果として、吐き気や頭痛などの症状が生じることがあるのです。さらにコルチゾールの分泌が減ると、性ホルモンが乱れてしまうことがあります。女性においては、生理痛の悪化や月経不順などの症状につながるケースも多くあります。
ストレスは仕事などのパフォーマンスにも悪影響をもたらします。ストレスに長期間さらされ続けると、判断力や覚醒状態の維持などに重要な役割を果たす「ノルアドレナリン」が減少し、注意散漫になります。すると、ミスが増えたり、ケースによっては重大な事故が起こったりするわけです。
すぐできるストレス解消法
新生活ですぐにできるストレス解消法として手軽なのが、「音楽鑑賞」です。名古屋大学などがおこなった実験では、音楽鑑賞は心理的ストレスと生理的ストレスの両方に効果がみられました。
また、運動もおすすめです。厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023』では、身体活動はメンタルヘルスの向上にも効果があるとされています。
可能であれば、ジャンプなど、筋肉への負荷が比較的大きい中高強度の運動を週に3日以上取り入れるとよいでしょう。忙しくて運動をする時間がない場合、低強度の運動でも効果があります。
たとえば、職場で職場での昼休みを利用し、ウォーキングなどを取り入れることで、ストレスが緩和が期待できます。
ほかにも、寝る前に軽度の運動をすることで深部体温が上昇し、睡眠の質が向上するとの報告があります。ただし就寝前の激しい運動は睡眠の質を下げるとのデータもあるため、軽いストレッチなどを15分程度おこなうのがおすすめです。
まとめ
新生活をはじめると、新しい人間関係や慣れない仕事、生活リズムの変化など、さまざまなストレスに直面します。これらのストレスは、人によって感じ方が大きく異なります。ある人にとっては些細なことでも、別の人にとっては大きなプレッシャーとなることがあるかもしれません。
また、日々の生活の中で感じるストレスは、ひとつひとつは小さくても、積み重なると、心身に大きな影響を与えることがあります。
定期的に自分のストレス状態をチェックし、早めに解消することが大切です。
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監修者: 木村 眞樹子医師 |
東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、Webメディアで発信も行っている。