2025.03.19
健康

【医師監修】知覚過敏とは?原因と治療法を紹介

知覚過敏とは何か

知覚過敏は読み方を「ちかくかびん」といい、歯の表面に外部からの刺激が加わった時に感じる一過性の痛みを指します。むし歯や歯髄炎といった明確な病変がない場合に起こりやすいのが特徴です。たとえば、冷たい飲み物や甘い食べ物、風が歯に直接触れるといった刺激によって鋭い痛みを感じることがあります。

知覚過敏が起こる6つの原因

知覚過敏は身近なトラブルの1つです。ここでは、知覚過敏が起きる原因を6つ紹介します。

歯の根の露出

歯肉が加齢とともに下がることで歯の根が露出し、象牙質(ぞうげしつ)がむき出しになることがあります。象牙質は、歯の表面を覆うエナメル質とは異なり、刺激を神経に伝えやすいため、歯ブラシが触れたり、冷たい水や温度変化などの刺激を受けたりすると痛みが生じます。

痛みは一時的なものであり、1分以内に消失するのが特徴です。また、歯石が多く付着した歯をクリーニングする際にも、象牙質が露出し、器具が触れることで痛みが生じる場合があります。

歯のすり減り

歯は、日々の使用によって少しずつ擦り減っていきます。その結果として歯の表面を覆う硬いエナメル質が削れ、内部の象牙質が露出します。象牙質がむき出しになることで、外部からの刺激に対して敏感になり、知覚過敏を引き起こすことがあるのです。

ただし、歯の擦り減り具合や知覚過敏の症状は個人差が大きく、広範囲にわたって象牙質が露出していても知覚過敏を感じない人もいれば、ほんのわずかな露出で鋭い痛みを感じる人もいます。

酸性の飲食物によって歯が溶ける

歯の表面を覆うエナメル質は、pH5.5程度の酸性環境で溶けはじめる性質があります。日常的に摂取する食べ物や飲み物の多くは酸性であり、炭酸飲料や酸味の強い果物、ジュースなどが代表例です。

特に、炭酸飲料をゆっくり時間をかけて飲んだり、酸性の食品を頻繁かつ長時間かけて食べたりすると、歯に大きな影響を及ぼします。

酸によりエナメル質が溶かされた歯を「酸蝕歯(さんしょくし)」といいます。

歯の破折

歯に打撲や外傷が加わり破折が起きると、エナメル質が剥がれ内部の象牙質が露出する場合があります。このような状況では、冷たいものや甘いものが直接象牙質に触れるため、知覚過敏の症状があらわれます。

さらに、歯が破折した際には目には見えにくい亀裂が歯の表面や内部に生じている場合もあります。亀裂が深く歯の神経にまで達していると、細菌が侵入し炎症を引き起こすことになりかねません。

歯を削ることによる神経過敏

むし歯の治療後に知覚過敏が生じるケースがあります。これは、治療の過程で歯を削ることが直接的な刺激となり、歯の神経が敏感になるためです。削られた部分の象牙質が露出することで、冷たいものや甘いもの、さらにはかみ合わせの際に痛みを感じることがあります。

時間の経過とともに緩和することもありますが、場合によっては再治療や神経の治療が必要です。

ホワイトニングの副作用

ホワイトニング治療は、歯を白くするための一般的な方法ですが、一時的に知覚過敏を引きおこすことがあります。ホワイトニングでは漂白作用のある薬剤を使用することで、歯の亀裂、摩耗などがあると、薬剤が象牙質に浸透して歯の神経を刺激するからです。

ホームホワイトニングをおこなう場合、治療を1~2日間中断することで知覚過敏の症状が緩和され、治療を再開できます。ホワイトニング治療が終了すれば知覚過敏の症状は一般的になくなるため、心配しすぎる必要はありません。ただし、症状が強くなる場合や長引く場合は、神経の治療を行う必要性の可能性があるため早めに歯科医師に相談することをおすすめします。

知覚過敏を治療する方法

知覚過敏は、状況に応じて適切に対処することで症状を緩和できます。知覚過敏の治療法についてみていきましょう。

オーラルケアで再石灰化を促す

知覚過敏症は、軽度の場合、知覚過敏ケア歯磨き粉を利用することで緩和します。知覚過敏ケア歯磨き粉には神経の伝達を防ぐ薬用成分である硝酸カリウムや刺激の伝わる象牙細管の入口を塞ぐ薬用成分である乳酸アルミニウムにより知覚過敏を緩和させます。

また歯磨きなどで刺激を与え続けることで時間と共に神経内部に第3象牙質ができることにより歯の表面から神経までの距離が長くなるため知覚過敏が緩和されます。

露出した象牙質内部の空洞を封鎖する

象牙質が露出すると、内部の小さな空隙が刺激を伝える経路となり、知覚過敏の原因となります。そのため、象牙質の空隙を封鎖することで、知覚過敏の改善が可能です。

歯と似た成分の結晶をはじめとするさまざまな物質を用いて空隙を埋め、神経への刺激伝達を遮断します。歯科医院でおこなうことが一般的であるものの、市販の歯みがき剤にも象牙質表面に結晶形成を促進する成分が含まれるものがあります。

歯の神経が過敏な状態を改善する

知覚過敏は、歯の神経が刺激を受けることで引きおこされます。この刺激により「痛い」という信号が神経を通じて中枢に送られ、痛みを感じます。神経が刺激を受けた際に生じる神経の興奮を抑えることで、知覚過敏の防止が可能です。

神経の周囲を取りまくカリウムイオン(K+)を増やすことで神経の興奮を抑える仕組みが主に用いられています。硝酸カリウムを含む歯みがき剤を使用する方法が一般的です。

神経を取り除く

知覚過敏は通常、一時的な痛みとしてあらわれますが、痛みが長時間続いたり、非常に強い痛みをともなう場合は、歯の神経に炎症などの異常が生じている可能性があります。本来、歯の神経は歯の健康を保つ上で重要なため、可能な限り保存することが推奨されます。しかし、痛みが日常生活に支障をきたすほどである場合には、歯科医師と相談の上、神経を取り除くことも検討しましょう。

露出した象牙質を被膜で覆う

知覚過敏を抑える方法の1つとして、露出した象牙質の表面を被膜で覆う治療があります。接着材で薄い樹脂の膜を形成することで、痛みの原因となる刺激が歯の神経に伝わるのを防ぎます。

象牙質の表面が摩耗や酸による溶解で凹みが生じている場合には、その凹みを補填しながら形状を整えることで、さらに効果的に知覚過敏を改善できます。

知覚過敏を予防する方法

知覚過敏を完全に予防する方法はありませんが、日常生活の中でいくつかのポイントに注意することでリスクを軽減できます。

歯肉が加齢とともに退縮するのを完全に防ぐことは難しいものの、歯周病予防に努めて歯肉の健康を保つことが重要です。また、歯肉の退縮を悪化させる不適切な歯磨き法は避け、正しいブラッシングを習慣づけましょう。

さらに、プラークが歯に付着したまま放置すると酸による歯の溶解が進み、知覚過敏が生じやすくなります。むし歯が進行する可能性も高まるため、毎日のオーラルケアが不可欠です。

冷たい水で歯がしみるといった知覚過敏と似た症状は、むし歯の進行や歯の亀裂でも起こることがあります。早期に歯科治療が必要となるため、痛みを感じたら早めに歯科医院を受診することが大切です。

まとめ

知覚過敏は、象牙質の露出や歯の状態に影響を及ぼすさまざまな要因によって引き起こされますが、適切な治療とケアによって改善が期待できます。日々のオーラルケアを大切にし、正しいブラッシングや知覚過敏用の歯磨き粉を使用することで、症状の予防にもつながります。

痛みが強い場合や原因が明確でない場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。

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監修者: 鈴木 丈夫先生

たけお歯科院長/UCLAインプラントアソシエーション理事/日本医学交流協会副会長/歯学博士
日本大学松戸歯学部卒業後、歯科医院勤務、アメリカ留学等を経て2013年たけお歯科開業。しっかりとしたカウンセリングを行い、患者さん一人ひとりの要望に合わせた治療、予防を提供していくことを大切にしている。

たけお歯科: http://www.takeo-dental.com/

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