髪の毛の構造とヘアサイクル
髪の毛は、表面の「毛幹(もうかん)」と、皮膚の中にある「毛根(もうこん)」からなります。毛根の最下部には毛母細胞が存在し、細胞分裂によって毛髪が成長します。毛母細胞の近くにはメラノサイト(色素細胞)があり、ここで作られるメラニンが髪の色を決定しています。
毛髪の成長は「ヘアサイクル」と呼ばれる周期によって繰り返されます。
<ヘアサイクル>
髪の毛は1ヶ月に約1cmほど伸びるとされ、個人差はあるものの、1日に自然に抜ける髪の本数はおよそ70〜80本程度です。バランスの取れたヘアサイクルを保つことが、健やかな髪の維持に重要です。
壮年性脱毛症とは?
壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)とは、主に30代以降の男性に多くみられる進行性の脱毛症で、一般に「男性型脱毛症(AGA)」と呼ばれます。
日本人男性の約3人に1人がこのタイプの脱毛に悩むとされ、年齢とともにその割合は増加します。
主な原因は、男性ホルモンの一種「テストステロン」が5αリダクターゼという酵素と結びつき、より強力なホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」へ変換されることにあります。DHTが毛包内の受容体と結合すると、前頭部や頭頂部では脱毛因子「TGF-β」が産生され、毛母細胞の働きが抑制されて髪が軟毛化します。
これによりヘアサイクルの成長期が短縮され、十分に成長しないまま毛が抜け落ちてしまうのです。進行パターンには「M字型」「O字型」「U字型」などがあり、複合的に進行するケースもあります。放置すると脱毛範囲が広がるため、早めの対処が必要です。
抜け毛における男女の違い
抜け毛の原因には男女差があり、男性はDHT(ジヒドロテストステロン)の影響で壮年性脱毛症(AGA)を発症しやすいのが特徴です。一方、女性にも微量の男性ホルモンは存在しますが影響は弱く、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な原因とされています。
これにより髪全体が細くなり、分け目やつむじが透けやすくなる「びまん性脱毛」になりやすい傾向があります。不規則な生活やストレスも女性の抜け毛を助長します。
髪の状態と生活習慣をセルフチェック
薄毛や抜け毛の進行には、髪や頭皮の変化だけでなく、日々の生活習慣も深く関係しています。今の自分の状態を振り返るために、一度チェックしてみましょう。
気になる項目が複数ある場合は、早めのケアや医療機関への相談を検討しましょう。
抜け毛の原因
抜け毛の原因は、生活習慣や環境、加齢などさまざまです。ここでは主な原因を解説します。
1.生活習慣の乱れ
過度なストレスや睡眠不足、喫煙、栄養バランスの偏りなど、日常の生活習慣の乱れは頭皮の血流や毛根に悪影響を与え、抜け毛を招きます。
2.過度なヘアケア
パーマやカラーリング、熱を多用するスタイリング、シャンプーのしすぎなどは、頭皮と毛髪にダメージを与え、抜け毛を引き起こす原因となります。
3.頭皮トラブル
頭皮の乾燥や皮脂の過剰分泌、炎症、フケなどの頭皮環境の悪化は、毛穴の詰まりや毛根への負担を増やし、健康な髪の成長を妨げます。
4.加齢による変化
年齢とともにホルモンバランスが変化し、毛周期が乱れやすくなります。その結果、髪が細くなり、抜けやすくなるのが一般的です。
5.季節的要因
秋口や春先など、季節の変わり目には抜け毛が増えることがあります。これは、気温・湿度・紫外線などの影響で頭皮環境が変化するためです。
6.無理なダイエット
急激な食事制限や栄養不足は、髪に必要な栄養が届かなくなる原因となります。特に鉄分や亜鉛、たんぱく質の不足は抜け毛を助長します。
7.髪型による負担
ポニーテールや編み込みなど、頭皮を引っ張るような髪型を続けていると「牽引性脱毛症」を引き起こすことがあります。
今すぐできる抜け毛対策
抜け毛が気になりはじめたら、日常生活の中でできる対策からはじめてみましょう。今日から実践できる方法を紹介します。
1.栄養バランスの整った食事をとる
髪の成長にはたんぱく質、ビタミンB群、亜鉛、鉄分などの栄養素が欠かせません。食事で十分な栄養がとれない場合は、サプリメントを取り入れるのも1つの方法です。偏った食生活は抜け毛を進行させる原因になるため、毎日の食事から意識して見直しましょう。
2.良質な睡眠を確保する
睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げ、毛母細胞の働きを低下させて抜け毛を進行させる恐れがあります。特に大切なのは「何時に寝るか」よりも「どれだけ深く眠れているか」です。入眠直後の深いノンレム睡眠がしっかり取れるよう、就寝前のスマホ使用を控えるなど、質の高い睡眠環境を整えることが重要です。
3.ストレスをこまめに発散する
ストレスが過剰になると自律神経が乱れ、血行不良やホルモンバランスの崩れを招き、抜け毛が進行しやすくなります。運動や趣味、入浴、深呼吸など、自分なりのリラックス方法を見つけて、こまめにストレスを解消することが大切です。
4.正しいシャンプーと頭皮ケア
シャンプーは1日1回、ぬるま湯でよく泡立ててから優しく洗うのが基本です。ゴシゴシ洗いやすすぎ残しは頭皮トラブルの原因になります。また、洗髪後に指の腹でおこなう軽いヘッドマッサージは、血行を促進することで育毛をサポートします。
5.育毛剤や頭皮ケア製品の活用
初期の抜け毛対策としては、市販の育毛剤を使うのも1つです。朝晩の清潔な頭皮に使用することで、成分が毛根に浸透しやすくなります。自分の頭皮環境に合った商品を選ぶことで、より高い効果が期待できます。
まとめ
抜け毛は年齢だけでなく、食生活や睡眠、ストレス、ヘアケアの習慣など、日常の行動が大きく影響します。まずは自分の髪や頭皮の状態をチェックし、改善できる生活習慣から取り組んでいきましょう。正しい知識と継続的なケアが、将来の髪の健康を守る第一歩です。不安がある場合は、早めに医療機関へ相談するのもおすすめです。
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監修者: 松澤 宗範医師 |
形成外科/再生医療/美容医療/予防医療/抗加齢医学
2014年3月近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 新宿院院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 院長 2024年7月 肌管理クリニック