2025.11.07
健康

【医師監修】ものもらいの種類別の原因と対策方法を解説!

ものもらいの種類別の原因と症状

ものもらいには霰粒腫(さんりゅうしゅ)と麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の2種類があります。まずはそれぞれの症状や発症原因について解説します。

1. 霰粒腫(さんりゅうしゅ)の原因と症状

霰粒腫とは、まぶたの縁にある「マイボーム腺」と呼ばれる油分の分泌腺がつまり、脂肪のかたまりができる症状です。

・ 霰粒腫(さんりゅうしゅ)の原因

まぶたの縁にある「マイボーム腺」と呼ばれる油分の分泌腺が詰まることにより、分泌物がまぶたの内部にたまり、炎症が起き、腫れが発生します。マイボーム腺が詰まる主な理由としてはマイボーム腺の閉塞や皮脂の過剰分泌、乾燥や化粧品などの刺激、栄養不良やホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。
まぶたの他の炎症が引き金となるケースも少なくありません。たとえば麦粒腫を治療する過程で、霰粒腫に進展することがあります。体質的な要因が関係している場合もあり、原因が分からないことも多くあります。

・ 霰粒腫(さんりゅうしゅ)の主な症状

主な症状はまぶたの腫れや痛み。まぶたのなかのしこりです。炎症を伴った場合は痛みや腫れが生じることがあります。痛みや腫れはないものを「非炎症性霰粒腫」と呼び、腫れや痛みがあるものを「急性霰粒腫(炎性霰粒腫)」と呼びます。

急性霰粒腫(炎性霰粒腫)では麦粒腫と似た症状が出ることがあります。霰粒腫は自然治癒するケースは少ないと考えられています。

2. 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の原因と症状

麦粒腫とは、まぶたの縁や内側に細菌が感染し、まぶたが部分的に赤く腫れる症状です。

・ 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の原因

ブドウ球菌やアクネ菌などの細菌が感染することによって起こるケースが多いと考えられています。不衛生な手で目を触ったり、汚れたコンタクトレンズを使用したりすると、細菌が目に入り、感染が起きやすくなります。
疲れや睡眠不足などにより抵抗力が落ちているときは、感染しやすく、麦粒腫になりやすいため注意が必要です。特に細菌の感染が原因となる麦粒腫は、治ったように見えても奥の方に菌が残っていて、再発するケースが少なくありません。

・ 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の主な症状

典型的な初期症状は、まぶたの赤みや痛みです。かゆみを伴うこともあります。炎症が進むと、赤み、腫れ、痛みが強くなり明るい光に過敏になったり異物感が生じたりします。ケースによっては、まぶたのフチに炎症が起きる眼瞼(がんけん)炎を併発することもあります。
化膿が進むと腫れた部分が破れ、膿が出ます。
膿が出た後は自然に治癒する場合もありますが、麦粒腫が重症化すると、感染が眼の奥の「眼窩」にまで広がることで「眼窩蜂窩織炎」になり、視力低下や失明につながるケースもあるため注意が必要です。

ものもらいの治し方

ものもらいは軽症であれば自然に治ることもありますが、炎症による腫れがひどくなると、すぐには処置ができないため治療が長引きます。症状がひどくなる前に、なるべく早く眼科を受診しましょう。

1. 霰粒腫(さんりゅうしゅ)の場合

霰粒腫は、まぶたを温めることが有効です。身体の一部を温めることを医学的には温罨法(おんあんぽう)といい、血管を拡張することで血流を促進したり、新陳代謝を活性化して炎症を鎮めたりします。霰粒腫の場合、まぶたを温めることによってマイボーム腺に詰まった油分が溶け、症状が緩和することがあります。

一日2回程度、おしぼりやタオルをレンジで温めたものをまぶたに乗せましょう。市販のホットアイマスクでも代用できます。眼科では、目薬や眼軟膏、内服剤などが処方されます。しこりが大きく、長引く場合には、ステロイド注射での治療が行われます。ケースによっては手術で切開し、取り除くことが必要になることもあります。

2. 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)の場合

軽症であれば、市販の目薬などによるセルフケアも可能です。麦粒腫では、冷やすのが効果的です。患部を冷やすことで一時的に症状を緩和させることができます。一般用医薬品ではサルファ剤を主な有効成分とする抗菌目薬が有効です。細菌の増殖を抑えることで炎症を鎮める作用があります。サルファ剤を有効成分とする抗菌目薬は、ものもらい以外に結膜炎(はやり目)や眼瞼炎(まぶたのただれ)などに効能があります。

強いかゆみを伴うときはときは抗ヒスタミン薬が効果的です。抗ヒスタミン薬は、かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑えて症状を緩和します。

子供に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。使用前にしっかり確認しましょう。
眼科では、通常抗生物質の目薬や眼軟膏が処方されます。処方された薬を適切に使用していれば、1週間程度で治るケースが多いですが、治療をしても治らない場合は切開手術で膿を出す必要があります。

ものもらいの予防策について

ものもらいの主な原因は、目に細菌が入って感染することです。そのため生活習慣を正して抵抗力をつけると共に、目の周りの衛生を保つことがものもらいの予防につながります。

十分な睡眠とバランスの良い食事

十分な睡眠を確保し、抵抗力が落ちないようにすることが大切です。栄養の偏りがものもらいの原因になることもあるため、食事にも気をつける必要があります。特に積極的に摂取したい栄養素は「ビタミンA」「亜鉛」「オメガ3脂肪酸」です。

ビタミンAには皮脂を分泌する皮脂腺を縮小させ、皮脂の分泌を減らす作用があると考えられています。ビタミンAが不足すると、皮膚や粘膜が乾燥して防御力が落ち、細菌に感染しやすくなります。ビタミンAは、サツマイモやホウレンソウ、ニンジンなどに豊富です。

亜鉛は免疫細胞である白血球を増やして、免疫機能を高める作用があるといわれています。亜鉛が豊富に含まれる食べ物としては牡蠣やレバー、ウナギなどがあります。オメガ3脂肪酸はまぶたの炎症を抑えマイボーム腺機能不全による症状を改善する効果があるとされています。オメガ3脂肪酸は「えごま油」や「アマニ油」などに多く含まれます。

目元を清潔に保つ

細菌が入るのを防ぐため不衛生な手で目元を触らないようにしましょう。アイラインやマスカラ、つけまつ毛などは、刺激になったり、汚れの原因になったりするため極力避けることが大切です。アイメイクはできるだけ控えめにし、就寝前には必ずきちんと落とすようにしましょう。コンタクトレンズやレンズケースも雑菌が繁殖しやすいため、常に清潔に保ちましょう。

前髪や爪のケア

ものもらいは、前髪の先端が当たる場所にできることが多いです。前髪が目にかかると、感染の原因になることがあります。前髪が長い場合は切ったり、ピンで留めたりして目に入らないようにしましょう。また爪が長いと内側に汚れがたまりやすいため、こまめに短く切ることが大切です。

ものもらいに関するよくある質問

ものもらいはどれくらいの期間で治る?

麦粒腫の場合は、処方された薬を適切に使用していれば2~3日で症状が軽くなり、約1週間程度で治るのが一般的です。霰粒腫の場合は、しこりが大きくなったり、硬くなることもあり、治るまでに数カ月かかることもあります。

ものもらいは人に感染る?

ものもらいは細菌による炎症や、マイボーム腺のつまりによって起こります。そのため基本的には感染しません。ただし、間接的に感染る可能性はあります。ブドウ球菌やアクネ菌といったものもらい原因となる細菌に汚染された目薬を他の人が使ったり、患部に触れたタオルで顔を拭いたりしてしまうと、感染ることもあります。

まとめ

ものもらいは、規則正しい生活を送ることや、衛生を保つことなど、日頃の心がけ次第で予防できます。ものもらいは繰り返しやすい疾患ですが、放置すると、視力低下や失明につながリスクもありますから「たかがものもらい」と軽く見てはいけません。ものもらいになってしまった場合、早めに眼科を受診するようにしましょう。

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監修者: 柳 靖雄医師

眼科専門医/横浜市大視覚再生外科学客員教授/お花茶屋眼科勤務
東京大学医学部卒業(1995年 MD)・東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD)・東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年)・デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)・旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) ・横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在)・専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍しています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などをおこなっています。

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