内臓脂肪と皮下脂肪の違いは?
内臓脂肪と皮下脂肪は、どちらも体脂肪ですが、蓄積する場所が異なります。内臓脂肪は胃や腸などの内臓周辺の「腹腔」内に蓄積し、皮下脂肪は皮膚の下に蓄積します。内臓脂肪は蓄積しやすい一方で比較的簡単に減らすことができるため「普通預金型」の脂肪、皮下脂肪は蓄積しにくい反面減らしにくいため「定期預金型」の脂肪と呼ばれます。内臓脂肪は男性に、皮下脂肪は女性につきやすい傾向があります。
内臓脂肪とは?
内臓脂肪とは腹筋の内側、胃や腸などの消化器官が収まる「腹腔」内につく脂肪のことです。内臓脂肪は蓄積しやすい特徴がある一方、エネルギーとして優先的に燃焼されるため、比較的短期間で減少しやすいとされています。
男性は内臓脂肪がつきやすく、内臓脂肪型肥満になりやすいと言われています。内臓脂肪型肥満は、お腹がぽっこりと出た「りんご体型」になるのが特徴です。女性ホルモンの「エストロゲン」には内臓脂肪の蓄積を抑える働きがあるため、若い女性には内臓脂肪はつきにくいと言われています。更年期でエストロゲンが減少すると、女性でも内臓脂肪がつくことがあります。
内臓脂肪は臓器を正しい位置に保ったり、外からの衝撃を和らげることで、臓器を守ったりしています。また生体機能にかかわる化合物「アディポカイン」を分泌し、血中脂質などをコントロールする役割も担っています。
しかし内臓脂肪が過剰に蓄積されるとアディポカインの代謝異常を招き、動脈硬化などの原因となるメタボリックシンドロームを引きおこすリスクが高まると考えられています。メタボリックシンドロームの人は、そうでない場合と比べて、2型糖尿病になるリスクは約3倍、心血管疾患をおこしたりそれにより死亡するリスクは約3倍になると言われています。
皮下脂肪とは?
皮下脂肪とは皮膚の下の皮下組織につく脂肪です。体温維持などの役割を担います。蓄積しにくい反面、落ちにくい特徴があります。
体のなかのどこにでもつきますが、特にお尻や太もも、腰周り(下腹)といった下半身に集中してつくことが多いです。エストロゲンは脂肪の形成を促進する働きを持つため、お尻や太もも、下腹部に皮下脂肪が蓄積しやすくなります。そのため女性は下半身を中心に皮下脂肪が蓄積しやすく「洋梨体型」と呼ばれる体型になる傾向にあるのです。
内臓脂肪と比較して、直接的な健康リスクは小さいですが、蓄積しすぎるとその重みで腰痛や膝痛などを引きおこすこともあります。
内臓脂肪と皮下脂肪の見分け方は?
内臓脂肪と皮下脂肪の見分け方の一つが、感触です。皮下脂肪は、皮膚の下の皮下組織にあるため、簡単につまむことができ柔らかさがあります。一方、内臓脂肪は内臓の周りにあるため、表面からはつまめません。肌が張ったような弾力があります。
脂肪がついている部位からも見分けられます。皮下脂肪はお尻や太ももなど、主に下半身中心につきます。他方、内臓脂肪は足や腕にはつかず、ウエスト周りにつきます。もっとも、体型には遺伝など体脂肪以外の要素も影響するため、必ずしも脂肪がついている部位で、内臓脂肪と皮下脂肪を判別できるわけではありません。
内臓脂肪の減らし方は?
内臓脂肪を減らすには、栄養バランスを意識することが大切です。積極的に摂取したい栄養素としては、タンパク質があげられます。タンパク質は筋肉の維持に必要で、不足すると筋肉量が落ち、基礎代謝が下がります。基礎代謝が下がると、エネルギーの消費効率が下がり、脂肪が蓄積しやすくなります。低脂質高タンパクな、鶏胸肉や牛もも肉、牛乳や豆類などから摂取するとよいでしょう。内臓脂肪を減らすには食物繊維の摂取も効果的です。腹持ちがよく、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。特に昆布やワカメなどに含まれる水溶性食物繊維には、脂質や糖質の吸収を抑えて体外へ排出する役割があります。
また、消費エネルギーを増やすことも欠かせません。有酸素運動で脂肪を燃焼しつつ、筋力トレーニングで基礎代謝を高めると効率よく消費エネルギーを増やすことができます。ジョギングや水泳などの「中強度」の有酸素運動と並行して、腕立て伏せや、ダンベルなどを使ったトレーニングを取り入れると効果的です。週に3回、1日30分程度からはじめ、慣れてきたら運動量を増やしていくとよいでしょう。
時間を確保できない方は、日常生活の中で体を動かすことを意識するだけでも違います。テレビを見ながら踏み台昇降をする、スクワットをしながら洗濯物を干すなどの「ながら運動」でも内臓脂肪は減らすことはできるのです。
皮下脂肪の減らし方は?
皮下脂肪を減らすには、規則正しい生活を送ることが大切です。適度に運動をする、毎日決まった時間に寝起きする、暴飲暴食を避けるなどが重要です。皮下脂肪は短期間では減らせないため、規則正しい生活の継続がもっとも重要です。
生活リズムが不規則になると、自律神経を乱し、基礎代謝が下がる原因となります。基礎代謝が落ちると脂肪がつきやすくなります。ただし、過度な食事制限には注意しましょう。筋肉が減り、基礎代謝が低下する原因になります。
また、1日を通じて、こまめな水分摂取も意識しましょう。適切な水分補給は基礎代謝を高めることがわかっています。ポイントは常温の水を飲むこと。冷えた水は血流悪化を招き、かえって代謝を低下させてしまいます。
1日の終わりには、質の良い睡眠をしっかりとりましょう。睡眠不足は、食欲を抑制する「レプチン」の分泌を減らし、食欲を増進する「グレリン」の分泌を増やします。結果として、必要以上の食事を摂取してしまい、脂肪の増加を招きます。
まとめ
内臓脂肪と皮下脂肪はどちらも、本来身体に必要な体脂肪です。しかしつきすぎると、健康リスクが生じます。特に内臓脂肪が過剰に蓄積すると、動脈硬化などの原因になることがあります。内臓脂肪型肥満は外からはわかりづらく、発見が遅れるケースも少なくありません。
暴飲暴食を避け、規則正しい生活習慣を継続するとともに定期的な健康診断で、自身の状態をチェックすることが重要です。
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監修者: 五藤 良将医師 |
竹内内科小児科医院院長(東京都)
内科認定医、日本抗加齢医学会専門医、総合内科医(小児科・糖尿病内科・アレルギー科・老年内科・漢方診療対応)
防衛医科大学校を首席で卒業後、自衛隊関係病院などで臨床経験を積み、2019年竹内内科小児科医院院長に就任。2021年からは医療法人社団五良会理事長も務め、地域医療に貢献している。「患者さんに寄り添い、親しみやすく、融通のきく医療を提供すること」をモットーに、幼い頃から憧れてきた「赤ひげ先生」を理想とし、日々患者さんと向き合い続けている。