斜視とは
斜視とは、眼の視線がそろわない状態を指します。片方の眼が正面を向いていても、もう片方が違う方向を向くため、左右の視線が合いません。
斜視の状態では正しく両眼視ができず、ものを立体的に見ることが難しくなることがあります。斜視を発症する時期が早いと、両眼同時にものを立体的にみる働き(両眼視機能)の成長が妨げられたり、片眼だけ視力が十分に発達せず弱視になったりするリスクがあります。
斜視はおよそ50人に一人にみられるとする報告もあり、決して珍しいものではありません。
斜視の症状が常に起きているものを「恒常性斜視」、普段は正常で時どき斜視の症状があらわれるものを「間歇性斜視」といいます。日本やアジアに多いとされているのが間歇性外斜視です。
斜視の主な症状
斜視になると、眼の位置のずれだけでなく、2つのものが1つに重なって見える「混乱視」やものが二重に見える「複視」が生じることがあります。
見え方のずれを補正するために、無意識に首を傾けて頭の角度を調整する仕草がみられる場合もあります(頭位異常・斜頸)。
斜視の種類
斜視は、視線があわないほうの眼が向く方向によって分類されます。
斜視の原因
斜視の原因には、主に次のようなものがあると考えられています。
斜視の治し方
斜視の治療法は、種類や年齢によって異なります。自分に合った治療法を選ぶ必要があります。
1. コンタクトレンズ、メガネの使用
コンタクトレンズやメガネを装用することで、遠視や近視を補正するものです。遠視を原因とする、調節性内斜視などに有効です。主に子供を対象としたもので、大人への効果は期待できません。
大人の場合、プリズムレンズという光の屈折を変えるレンズを使用したメガネを使用する方法があります。光の進路を屈折させてずれを補正することで、複視を防ぐものです。複視を伴う斜視や眼球運動障害による複視に効果があるとされています。
ただし、複視が解消されるのはメガネを着用している間だけで、根本的な解決にはなりません。
また複視がない場合や、正面視以外の複視、斜視の角度が大きい場合には効果は得られません。
2. ボツリヌス注射
ボツリヌス注射は、筋肉を弛緩させる効果がある「A型ボツリヌス毒素」を外眼筋に注射し、眼の位置のずれを改善する治療です。日本では2015年に承認され保険適用となりました。
効果は通常、投与後2〜3日であらわれ、2~4週間でピークを迎えます。その後3〜4か月で減っていくため、効果が低下してきたころ、医師と相談の上で再度注射を検討します。症状の改善度合いに応じて、再投与の際の薬剤の量を増減することで、眼の位置を微調整できるメリットがあります。
ただし、ボツリヌス療法は12歳以下は受けられません。またボツリヌス菌には筋弛緩作用があるため、重症筋無力症やランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など、筋肉の疾患がある人も対象外です。
3. 遮閉法
斜視でないほうの眼を眼帯やアイパッチなどで隠し、斜視の眼を使ってものを見る治療です。遮閉法は、主にものを見る能力が完成していない子どもの斜視や弱視を改善することを目標とした治療で、身体への負担が小さく、簡単にできるメリットがあります。ただし即効性はなく、大人の斜視には効果が期待できません。
4. 手術治療
斜視の手術治療は、外眼筋の位置や長さを調整することで眼の位置を整えるものです。手術時間は1つの筋肉につき20~30分程度で、片眼の2~3つの筋肉に施術する場合が多いです。大人の場合、局所麻酔で日帰り手術も可能ですが、子供の場合、入院して全身麻酔で手術を行います。
斜視の手術では、通常数年~数十年間、眼の位置を正常に近づける効果が期待できます。ただし再発(戻り)が生じるリスクもあります。眼の位置は整っても、両眼視機能は改善されないケースもある点にも留意が必要です。
まとめ
斜視は少しずつ進行します。子供の異変に気が付いたら、なるべく早く対策をすることが重要です。また近年では、大人の斜視も増えています。スマートフォンなどの画面をみる時は、画面から眼を離し、適度に休憩するなど普段から眼をいたわる生活を心がけるようにしましょう。
斜視に関するQ&A
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監修者: 新田 凌也医師 |
奈良県立医科大学眼科学教室/医療法人新進会にった眼科クリニック
島根大学医学部卒業。神戸大学医学部附属病院にて初期研修を修了後、奈良県立医科大学眼科学教室所属
眼腫瘍および眼形成領域を専門とし、機能面と整容面の双方を重視した診療に従事
日本眼科学会/眼形成学会/眼腫瘍学会