2026.03.27
健康

【医師監修】眠い時の対処法とは?瞬時に眠気を覚ます方法を解説

うつ病の治し方は?

うつ病治療では以下の3つが柱となります。

・ 十分な休養 ......ストレス要因を排除し、安心して過ごせる環境をつくることで症状の改善を目指します。うつ病治療では、心身を休めることが何よりも大切です。

・ 薬物療法 ......抗うつ薬など薬の作用で、脳の神経伝達物質を調整することで症状を改善していきます。うつ病治療の中心となる治療法です。

・ 精神療法 ......専門家との会話を通じて、うつ病の原因となる認知の歪みや人間関係の問題を解消することで症状の改善や再発防止を目指します。薬物療法と同程度の効果が期待できます。

①十分な「休養」を取る

うつ病治療で最も大事なのが、休養です。うつ病の発症には、ストレスが関係していることが少なくありません。そのためまずはストレス原因を消し、心身を休ませることが重要です。

特に人間関係や仕事のストレスがうつ病を招くケースが多く、自分より他人を優先しがちな人や、周囲の評価に敏感な人、相談できる相手がいない人などはうつ病になりやすい傾向にあります。何もしないでゆっくりと休みましょう。

ストレスの原因が仕事にある場合、休職の検討も必要です。休職中は、所定の条件を満たせば健康保険や労災保険で給与の一部を受けとることができます。ただし申請には医師の診断書などが必要です。仕事を休めない場合は、配置転換や業務の軽減などを相談してみましょう。

②医師と相談し「薬物療法」を進める

うつ病を治すには、休養と並行して薬物療法を進めることも欠かせません。薬物療法では基本的には抗うつ薬が使用されます。

抗うつ薬は「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの脳内神経伝達物質のバランスを調整して、不安や気分の落ち込みなどの症状を改善します。

現在、うつ病の第一選択薬は新規抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)です。
以前は、三環系や四環系などの抗うつ薬が使われていたのですが、眠気や倦怠感といった副作用が強く生じることなどを理由に、使われることは少なくなりました。ただし強い不安や焦燥感などを伴う重度のうつ症状に対しては、三環系の抗うつ薬が高い効果を発揮することが報告されていて、新規抗うつ薬で効果が見られない場合や、症状が重い場合、三環系の抗うつ薬を使うこともあります。

抗うつ薬に加え、状況に応じて抗不安薬・睡眠導入薬・気分安定薬などが使われることもあります。

うつ病の薬は飲み忘れが続くと離脱症状が生じることがあるため、飲み忘れないようにしましょう。また、急に服薬を中断すると、めまいや頭痛などの離脱症状が生じることもあります。

自己判断で服薬を中断したり、量を減らしたりせず、医師の指示に従うことが大切です。

③考え方の癖を修正する「精神療法」

うつ病には精神療法も有効で、薬物療法と同等の効果が期待できるといわれています。うつ病の精神療法で代表的なのは「認知行動療法(CBT)」と「対人関係療法(IPT)」です。

認知行動療法(CBT)は出来事に対する捉え方(認知)の癖を修正し、考え方や行動を矯正するものです。不眠や気分の落ち込みに対しても認知行動療法が有効という報告があります。ただし、拒絶されたり批判されたりすることを極度に恐れる性格の人や、自殺願望があるなど精神症状が強い場合には認知行動療法は向きません。

対人関係療法(IPT)は、人間関係のなかにある問題に焦点をあて、感情や行動を変化させることで問題の解決や気分の改善を図る注目する治療手法です。認知行動療法と並んで根拠に基づく精神療法といわれています。

うつ病を治す流れ

うつ病の治療は3つの段階にわかれます。

・ ①急性期 ......診断から約3か月 休養に専念し症状を和らげることを目標とする

・ ②回復期 ......診断から4~6か月 昼間の行動を徐々に増やし生活リズムを整えることを目標とする

・ ③再発予防期 ......治療開始から1~2年 安定した状態をキープし、症状の再発を防ぐことを目標とする

①急性期|症状が最も辛い時期

うつ病の急性期は、意欲の低下や不眠、不安といった症状が最も辛い時期です。うつ病は脳の働きが低下している状態で引き起こされるため、急性期は、休養に専念し症状を和らげることが最優先事項となります。頑張って治そうとせず、ストレス要因から距離を置き、安心できる環境をつくることが必要です。

薬物療法は通常、急性期から開始します。抗うつ薬の効果が実感できるまでに4週間程度かかることもあります。そのため抗うつ薬の効果よりも、眠気やめまいといった副作用が先にあらわれるケースもありますが、自己判断で服薬を中断したり、服薬量を減らしたりしてはいけません。薬に慣れてくると副作用も落ち着いてきますが、どうしても辛い場合は医師に相談するとよいでしょう。

②回復期|症状が安定してくる時期

急性期を過ぎ、少しずつ症状が安定しはじめるのが回復期です。症状が重い急性期は何に対しても興味がわかず、気分も塞ぎがちですが、回復期に入ると少しずつ前向きになれる時間が増えてきます。物事に意欲的になり、ポジティブになれる時間が増えてきたら、回復の兆候と考えてよいでしょう。

注意したいのが、この時期はまだ症状に波があることです。調子がよいからといって無理をすると、悪化してしまうこともあるため、この時期に外出を増やしたり仕事に復帰したりするのは控えたほうがよいでしょう。近所への散歩や家事など、負担の少ないことから徐々に再開していくことが大切です。できる範囲で趣味や運動を取り入れることもおすすめします。

うつ病の要因となるネガティブな思考パターンを直さないと、症状がぶり返す可能性があるため、再発防止のためにも、認知行動療法などの精神療法を行うことも重要です。

また、自己判断で服薬を中断したり、服薬量を減らしたりするのは禁物です。うつ病が長引く原因になります。

③再発予防期|安定した状態を維持する時期

症状が落ち着き、穏やかな日常が戻りつつある時期が再発予防期です。社会復帰も可能ですが、治療を継続することが必要です。

うつ病は再発のリスクが高い疾患であるため、症状が消えた後も少なくとも半年程度は薬を飲み続けることが大切になります。

安心した状態を維持するには、生活習慣の管理が肝心です。バランスの取れた食事や適度な運動、睡眠を心がける必要があります。

また、ストレスをため込まないことも重要です。趣味や楽しみを見つけ、自分なりのストレス対処法を身につけるようにしましょう。

ただし、飲酒や過食によるストレス発散は禁物です。アルコールの過剰摂取や暴飲暴食をすると、一時的には気が紛れるかもしれませんが、うつ病を再発させるリスクがあります。

関連記事: 【精神科医監修】一人で手軽にできるストレスの発散方法|自分に合った選び方とNG方法

うつ病を治すための生活習慣

うつ病を治すには、普段の生活サイクルが重要です。ここでは、うつ病を治すために効果的な生活習慣を紹介します。

・ 生活リズムを整える
・ 栄養バランスのとれた食事を心がける
・ 無理のない範囲で気分転換を取り入れる
・ 日光を浴びる
・ 運動をする

①生活リズムを整える

うつ病の治療の基本は生活リズムを整えることです。しかし、うつ病になると安定した生活リズムを維持するのは難しくなるのが一般的です。無理のない範囲からはじめましょう。

生活リズムを整えるためのポイントは、3食欠かさず食べることです。特に朝食はその日一日の身体活動に必要なエネルギー源になります。

特に幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の材料になる「トリプトファン」を多く含む食材を取り入れるとよいでしょう。トリプトファンが眠気を起こす「メラトニン」に変わり、夜、眠りにつきやすくなる可能性があります。

セロトニンの合成に必要なビタミンB6や炭水化物と一緒に摂取するのがおすすめです。

・ トリプトファンが豊富な食材

・ 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品
・ 豆腐や納豆などの大豆製品
・ 卵
・ バナナなど

・ ビタミンB6が豊富な食材

・ 牛レバー豚ヒレ肉など
・ かつおやマグロなどの魚介類
・ ブロッコリー
・ バナナなど

・ 炭水化物が豊富な食材

・ 米、パンなどの穀類
・ いも類など

毎日のルーティンを決めておくのもおすすめです。やるべきことを前もって決めておくことで、手持ち無沙汰な時間を過ごすことから生じる焦りやストレスを減らすことができます。

ルーティンを決める際は、散歩をする、洗い物をするなど、無理なく達成できそうなものにすることが重要です。ルーティンをこなすことができれば、それが自信になり、精神の安定につながります。

またうつ病は不眠症状を伴うことが多いため、同じ時間に布団に入るなど眠りやすい環境を整えることも大切です。日中は身体を動かすことで、夜眠りにつきやすくなる効果も期待できます。

②栄養バランスのとれた食事を心がける

うつ病と栄養は密接に関係しています。うつ病患者はBMI25以上の肥満体型が多く、エネルギー過剰摂取傾向です。脂っこいものや甘いものは控え、栄養バランスのとれた食事を意識しましょう。

うつ病患者では、動脈硬化を防ぐ働きなどをする「善玉コレステロール値」が低い人が多いとの報告があります。善玉コレステロール(HDL)との関連が知られている成分に「EPA」や「DHA」「不飽和脂肪酸」が挙げられます。不飽和脂肪酸にはn-3、n-6、n-9系があり、n-3系はえごま油や青魚、n-6系は植物油やナッツ類、n-9系はオリーブオイルなどに多く含まれています。

うつ病患者は葉酸が不足しがちで、葉酸を摂取することで症状が軽減されることもわかっています。葉酸はさまざまな食品に含まれ、特にブロッコリーやほうれん草などに豊富です。

また、緑茶を週に4日以上飲む人はうつ症状が少ないという研究結果もあります。緑茶を飲むことを習慣にするとうつ病予防や改善に役立つ可能性があります。

③無理のない範囲で気分転換を取り入れる

うつの回復には、心の休息も欠かせません。音楽を聞く、ゲームをするなど好きなことをして気分転換することも大切です。ただし没頭しすぎて夜更かしをしたり、生活習慣が乱れないようにしましょう。

一方で、SNSの利用は慎重にする必要があります。SNSで他人と自分を比較することで自己否定の気持ちが高まり、気分の落ち込みなどうつ症状が悪化する可能性があるという研究データもあります。

④日光を浴びる

私たちの身体には体内時計が存在し、ホルモン分泌や体温調整節を25時間周期で行っています(概日リズム)。健康を維持するには、概日リズムの25時間周期と一日の24時間とのズレをリセットすることが必要です。

日光を浴びることで、トリプトファンからセロトニンへの代謝が促進され、体内時計が調整されます。日光を浴びる習慣は「過眠」や「過食」の症状があらわれる「季節性うつ病」の予防にもなると考えられています。

関連記事: 【医師監修】季節性うつ病(冬季うつ病)とは? 症状や原因、チェックリストも

関連記事: 日光浴で健康になろう!適切な目安時間や紫外線による影響を紹介

⑤運動をする

適度な運動は、セロトニンの分泌を促進し、気分の落ち込みや不安感といった抑うつ症状の減少につながります。ハードな運動をする必要はなく、軽い体操、ストレッチなど負担の少ないものでも効果が期待できます。

たとえば森林を15分程度歩くだけで、交感神経活動が低下しストレス軽減することがわかっています。

外に出かけるのが億劫な方には、自宅で簡単にできる「リズム運動」などもおすすめです。踏み台昇降や足踏み、エアロバイクなど低~中強度の有酸素運動で抑うつ症状が改善することがわかっています。

ただし無理をすると負担になり、うつ病の悪化を招きかねません。大切なのは、無理なく少しずつ習慣にすることです。

まとめ

うつ病は、適切な治療を行えば、回復が期待できる病気です。無理をすると、長引いてしまうので、まずはしっかりと休養することが重要です。その上で、近所に散歩へ行く、栄養バランスを考えた食事をとるなど、できることから少しずつはじめていきましょう。

komura1.png

監修者: 伊藤 有毅医師

2012年 東北大学医学部医学科卒
2014年 東京大学医学部精神神経科
2015年 都立松沢病院
2018年 柏メンタルクリニック

関連コラム