これからの季節は特に、「肌や髪の乾燥が気になる」と感じる方が多いのではないでしょうか。化粧水や乳液をしっかり塗っていても乾燥が気になる場合は、正しいスキンケアができていなかったり、生活習慣が乱れていたりする可能性があります。
この記事では、美肌のための乾燥対策や簡単なヘアケア方法、季節ごとの乾燥対策についてご紹介します。
肌が乾燥する原因として、皮膚表面部を覆っている油分であるバリア機能の低下が挙げられます。バリア機能が正常な状態では肌の水分が適切に保たれますが、この機能が低下すると肌が乾燥しやすくなるのです。ここでは、おすすめの乾燥肌対策として以下の3つをご紹介します。
● 正しい洗顔
● 適切な保湿ケア
● ホットタオル
いずれの方法も継続的に行うと効果を得られるため、毎日の習慣にしましょう。
乾燥を防ぐ正しい洗顔方法は以下のとおりです。
1. 手をきれいに洗う
清潔な手で洗顔できるようにハンドソープを使って手を洗います。
2. 顔をぬるま湯で洗う
肌より少し冷たいくらいの温度で顔を軽く濡らします。
3. 洗顔料を手に取りしっかり泡立てる
もっちりした泡になるまで洗顔料を泡立てます。
4. 皮脂の多い部分から優しく洗う
Tゾーン(おでこから鼻先)やあごなど、皮脂が多い部分をなるべく指が触れないよう手のひらで洗います。
5. 目元や口元に泡を乗せる
皮膚が薄く乾燥しやすい目元や口元は泡を乗せるだけにしましょう。
6. ぬるま湯で丁寧に洗う
フェイスラインや生え際など、すすぎ残しがないようにぬるま湯で顔のすみずみまで洗います。
7. 顔の水分をふき取る
タオルで水分を吸収するイメージで水分を優しくふき取ります。
しっかり泡立て、肌をこすらないことが洗顔のポイントです。泡立てるために、洗顔ネットや泡で出てくるタイプの洗顔料を使用するのもおすすめです。
肌を洗うときは、泡を肌に乗せて泡を転がすように洗い、指が肌に触れないようにします。「小鼻回りは念入りに洗いたい」などの場合は、泡を毛穴に詰め込むイメージで抑えつけるようにすればすっきり洗いあげられます。摩擦は肌の乾燥の原因になるため、強くこすらないように注意しましょう。
洗顔すると皮脂膜やNMF(天然保湿因子)などの肌のうるおいを守る「バリア」が洗い流されてしまうため、速やかに保湿することが大切です。保湿力を高めるためにも、次の手順で正しいケアを行いましょう。
1. 化粧水を両手で顔全体を包み込むように優しくなじませる
2. 美容液を顔全体になじませ、目元や口元など乾燥しやすい部分に重ね塗りする
3. 乳液・クリームを優しく肌に伸ばす
化粧水はうるおいを補うための水分の役割を、乳液やクリームは水分の蒸発を防ぐ役割を果たします。美容液は必須ではありませんが、「ハリ・弾力」「美白」「目元専用」など特定の肌悩みに働きかけるアイテムなので、より一歩踏み込んだ美容効果が欲しい方におすすめです。
なお、強いパッティングは肌に刺激を与えるため控えましょう。また、美容液の順番は間違えがちですが、水分の多いアイテムの次に油分の多いアイテムを使うことが基本なので、化粧水の後に塗りましょう。
蒸気をたくさん含んだホットタオルを使ったスキンケアも、乾燥対策に効果的です。適温に温めたタオルを肌の上に乗せるだけで毛穴が開き、開いた毛穴に温かい水蒸気が入り込みます。そうすることで以下のような効果が期待できます。
● 毛穴の弾力性が高まる
● 肌細胞の血行が促進される
● 肌全体に潤いを浸透させられる
ホットタオルに必要なものは「清潔なロングフェイスタオル」と「洗面器1杯分のお湯(または水と電子レンジ、清潔なお皿)」のみです。
小さなフェイスタオルだと顔に乗せているうちにずれやすいので、やや長めのロングフェイスタオルを畳んで使うことがポイント。また、タオルやお皿は清潔なものを使いましょう。美肌効果を高めたい方はミネラルウォーターの使用もおすすめです。
ホットタオルの作り方は以下のとおりです。
1. タオルを水で十分に濡らし、しっかり絞る
2. お皿の上に畳んだタオルを乗せ、電子レンジに入れる(ラップは不要)
3. 500Wまたは600Wの電子レンジの場合、まずは30秒加熱する
4. タオルが適温になるまで様子を見ながら10秒ずつ加熱する
5. 少し冷ましてから顔に乗せる
加熱時間は電子レンジの機種にもよるので、加熱し過ぎないように注意してください。また、温め終えたホットタオルはすぐに顔に乗せるのではなく、まんべんなく適温になっているか確認してから乗せましょう。
そのほか、以下の点にも注意が必要です。使用方法や注意点を守って効果的にホットタオルを活用しましょう。
● 必ず洗顔して清潔な状態の肌でホットタオルを使用する
●ホットタオルの使用を終えた後はすぐに肌を保湿する
オイルマッサージをすることで、保湿はもちろん、血行が促進されてむくみも改善されます。オイルにはさまざまな種類がありますが、保湿重視であればホホバの種子から搾った「ホホバオイル」がおすすめです。ただし、マッサージのしすぎはニキビなどの肌トラブルの原因にもなるので注意しましょう。自分でマッサージをするのが難しい場合は、エステに行くのも効果的です。
【フェイス編】オイルマッサージのやり方
顔のオイルマッサージは以下の手順で行います。
1. 両手のひらにオイルを適量とり、下から上に向かって顔全体に馴染ませる
2. ほおを指全体で持ち上げるように円を描く(8回)
3. 口角を中指と薬指で引き上げる(4回)
4. 小鼻のわきを引き上げる(4回)
5. おでこを引き上げるように指全体で円を描く(2回)
6. 中指と薬指で優しく目の周りで円を描く(1回)
7. 最後にこめかみを押す(1回)
所要時間:1分
力強くマッサージすると、肌にダメージを与えてしまうので注意してください。優しくなでるくらいの強さが理想です。 また、深呼吸や水分補給はリンパの流れを活発にする効果があるとされています。そのため、オイルマッサージ中は深呼吸をして、オイルマッサージ前後にコップ1杯のお水を飲んでおくとより効果的です。
【首~手編】オイルマッサージのやり方
首や手は、保湿とあわせてリンパをマッサージすることがポイントです。「力加減は優しく」「マッサージのスピードはゆっくり」を心がけましょう。力強く行うと肌へのダメージがあるだけでなく、アザになってしまうこともあるので注意してください。
◇首のオイルマッサージの手順
1. 両手のひらにオイルを適量とり、首やデコルテに塗布する
2. 両手のひらで首を顎の下から鎖骨に向かってさする
3. 片側の肩から反対側の脇までさする(両方を交互に行う)
4. 両手で拳を作り、第二関節を首の側面にあてて耳の下から肩先に向かってさする
5. 首の後ろも同様に、髪の生え際から首の付け根に向けてさする
6. 4本の指を耳の下にあて、指で円を描きながら首の側面を肩に向かってもむ(反対側も同様に行う)
7. 片手を首の横にあて、首の下に向かってずらしながら押していく(反対側も同様に行う)
8. 親指以外の4本の指を左右の耳の下にあて、5秒間かけて押す
所要時間:1分
◇手のオイルマッサージの手順
1. 両手のひらにオイルマッサージを馴染ませる
2. 手のひらをもう片方の手を使って広げる
3. 両方の手首を数回左右に回す
4. 手の甲の親指と人差し指の骨が交わった箇所から少し人差し指よりにある「「合谷(ごうこく)」というツボを押す
5. 親指から小指までを順番に優しく握って引っ張る
6. 反対側の手も同様に行う
所要時間:1分
首や手も顔と同様に、深呼吸や水分補給をしながらマッサージをしましょう。
良質な睡眠やバランスのとれた食事など、規則正しい生活を送ることによって健やかな肌が保たれます。一方、睡眠不足や栄養バランスが偏った食事は、乾燥肌トラブルを引き起こす原因となります。特に以下のような生活習慣は肌に負担がかかるので注意が必要です。
● 夜更かしを頻繁に行う
● 運動を全くしない
● 食事の栄養バランスが悪い
なお、たとえ栄養バランスの良い食事であっても、摂取のしすぎは内臓に負担をかけてしまいます。内臓への負担は肌にも影響を及ぼすため、食事をとるときは、推奨されている摂取量を守るようにしましょう。
良質な睡眠とターンオーバーの関係
健康な肌を保つうえで重要な作用が「ターンオーバー」です。ターンオーバーとは、一定のサイクルで古い肌から新しい肌へ入れ替わる現象です。肌の新陳代謝であるターンオーバーは、成長ホルモンによって促されます。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、睡眠不足が続くとターンオーバーのサイクルが乱れて古い角質が肌の表面に残り、肌トラブルにつながるのです。
参考: 表参道メディカルクリニック ターンオーバーとは?肌が乱れる原因5つ、新陳代謝を促進して周期を整える方法
良質な睡眠の定義は明確には決められていませんが、厚生労働省は以下のような睡眠の質の評価指標をまとめています。
● 規則正しく睡眠と覚醒のリズムがとれていて昼と夜のメリハリがはっきりしている
● 自分にとって必要な睡眠時間がとれていて日中に過度な眠気や意図しない居眠りが起こらない
● 途中で起きてしまうことがなく、安心して睡眠をとれる
● 朝はすっきりと起きられる
● 目覚めからスムーズに行動できる
● 寝床に入ってから過度に時間をかけずに入眠できる
● 睡眠で熟眠感が得られる
● 日中過度な疲労がなく満足感が得られている
上記のいずれかを満たしていない場合は、自分の睡眠について見直してみましょう。具体的には、以下を心がけるのがおすすめです。
● 規則正しい生活を送る
● 軽い運動習慣を持つ
● 目が覚めたら日光を浴びる
● 寝る前にPCやスマホを長時間見ない
参考: 厚生労働省 第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術
食事の基本はバランスの良いメニュー
食事から摂るほとんどの栄養素は、血液中に取り込まれて全身へ運ばれます。食事を見直すことは肌の健康にも直結するので、乾燥肌が気になる方は食生活や栄養バランスを見直してみましょう。
以下の表は、成人の1日あたりの栄養摂取量の基準です。特にタンパク質やビタミンは肌のターンオーバーに必要な栄養素なので積極的に摂るようにしましょう。
栄養素 | 推奨摂取基準量 | 食品名 |
---|---|---|
タンパク質 | 50~65g(推奨量) 13~20%エネルギー(目標量) |
生ハム(24g)、蒸し鶏(21.7g)、さば水煮(26.8g) |
炭水化物 | 50~65%エネルギー(目標量) | 白飯(50.3g)、食パン(28.8g) |
食物繊維 | 18~21g以上(目標量) | 切り干し大根(21.3g)、生のしそ(7.3g)、モロヘイヤ(5.9g) |
カリウム | 2,600~3,000mg以上(目標量) | バナナ(454mg)、りんご(394mg)、みかん(120mg) |
ビタミンC | 100mg(推奨量) | 赤ピーマン(180mg)、ブロッコリー(140mg)レモン(100mg) |
亜鉛 | 8mg~11mg(推奨量) | 牡蠣(13.2mg)、赤身の牛もも(4.4g)、牛ヒレ肉(4.2g) |
マグネシウム | 270mg~370mg(推奨量) | あおさ(3,200mg)、あおのり(1,400mg)、てんぐさ(1,100mg) |
参考: 厚生労働省 栄養成分表示を活用しよう③ 食事の質を見直す
推奨量は、調査対象のほとんどの方が必要量を満たす分量として定義されます。目標量は、現代の日本人が当面の目標とすべき基準です。食品は100g当たりに含まれる栄養素の含有量を表しています。
肌の乾燥が気になる方は、ビタミンが豊富に含まれている以下の食品がおすすめです。
● にんじん
● 海藻類
● 卵
● レバー
● セロリ
● 苺
● 魚介類
栄養バランスのとれた食事を用意するのが難しい方は、サプリを活用するという選択肢もあります。
部屋の理想的な温度・湿度は、以下が好ましいと言われています。
● 夏場:温度/25~28度、湿度/45~60%
● 冬場:温度/18~22度、湿度/55~60%
快適な温度を保つためにエアコンをつけることで、空気が乾燥してしまうこともあるでしょう。部屋が乾燥すると、肌の水分が奪われて乾燥しやすくなります。そういったときに以下の方法であれば、加湿器がなくても簡単に乾燥対策ができます。
● 濡れタオルや洗濯物を干す
● 沸騰したお湯をコップに入れて置く
● 鍋ややかんでお湯を沸かす
● 霧吹きを部屋の空間に吹きかける
● 濡れ雑巾で床を拭く
複数の対策を組み合わせることで、より効果を高められます。ただし、お湯を使って乾燥対策をする場合はやけどに注意してください。
髪が乾燥すると、パサついてしまったり黄色に退色してしまったりします。美髪を保つためには、以下の対策を講じましょう。
● 濡れた髪はしっかり乾かす
● ヘアオイルやコンディショナー、トリートメントでヘアケアをする
● ヘアアイロンを使う場合は適切な温度かつ短時間にする
● 定期的に美容院でトリートメントをする
● 油分の多いシャンプーやコンディショナー、トリートメントを選ぶ
なかでも、乾燥対策として効果が高いのがヘアオイルです。外出前に髪全体に塗布することで、紫外線やエアコンの風から髪を守ってくれます。ヘアオイルがない場合は、ハンドクリームを薄くつけるだけでも予防できます。
最も注意したいのは、髪が濡れている状態で乾かさずに寝てしまうことです。濡れた髪はキューティクルが開いている状態なので、摩擦によるダメージを受けやすくなります。髪はしっかりと乾かすようにしてください。
正しい洗顔や保湿、規則正しい生活、バランスのとれた食生活は、1年を通して心がける必要があります。季節ごとに異なる乾燥の原因があるので、季節に応じた乾燥対策を行うことが大切です。
春は空気が乾燥し紫外線量が多いため肌表面にダメージを与えて肌のバリア機能が低下しやすくなります。バリア機能の低下した肌表面に花粉が付着すると、「花粉皮膚炎」を引き起こすため注意が必要です。また、花粉症の方はマスクをすることで蒸れやすくなり、肌荒れの原因にもなります。さらに、寒暖差や温度の変化によって皮脂の分泌が乱れやすくなるので、とにかく肌トラブルが起こりやすい季節と言えるでしょう。
対策としては、帰宅したらすぐに洗顔し、保湿重視のスキンケアをすることがポイントです。新生活が始まる方は、ストレスや生活習慣にも注意しましょう。
夏に肌が乾燥する主な原因は、紫外線や保湿不足、冷房による冷えです。 まず紫外線対策としては、日焼け止めを塗るだけでなく、帽子やサングラスで紫外線を予防しましょう。保湿対策に関しては他の季節と同様に、化粧水や美容液、乳液での保湿に加えてシートマスクを使うこともおすすめです。冷房による身体の冷えによって代謝が悪くなることを防ぐためには、ストールやカーディガンを羽織るようにします。
なお、汗をかくことで肌の水分の蒸発を防ぐ皮脂が失われ、肌が乾燥しやすくなる場合があります。そのため汗はこまめに拭くようにしましょう。
冬が近づくにつれて湿度が低下し、空気が乾燥します。肌の新陳代謝が弱まり皮脂の分泌量が低下するので、乾燥対策はしっかりしておきたいところです。
乾燥が気になる場合は、メイクの上からジェルや乳液を塗って保湿する方法が有効です。そのほか、ビタミンAやビタミンE、ビタミンB2、ビタミンCが含まれる食品を積極的に摂るようにしましょう。
冬は1年のうちで最も気温や湿度が低く、乾燥する季節です。外では空気が冷たく乾燥していて、室内では暖房器具によって肌に負担がかかります。
冬は熱いお湯に入りたいところですが、あまり熱すぎると肌の保湿成分が流れ出て乾燥が進んでしまうため、40℃以下の湯船に浸かるようにしましょう。そして入浴後は速やかに保湿を行います。またこの際、部屋の湿度を常に40~60%に保つようにするのがポイントです。
また、手が乾燥しないようにこまめにハンドクリームを塗りましょう。身体も乾燥しやすいので、保湿力の高いボディクリームを塗るのがおすすめです。
保湿や規則正しい生活を送っていても、肌の状態が回復しないこともあります。その場合は以下の対策をしてみましょう。
● 専門家のチェックを受けて自分の肌質を知り、適したスキンケアを行う
● タオルや枕カバーなど肌に触れるものを清潔にする
● 使用している化粧水や化粧品を見直してみる
肌の状態が良くないからといって、乾燥しないように洗顔をやめたり、日焼け止めを塗らずに外で過ごしたりすることはやめましょう。
肌の不調が続く場合は、エステに行くのではなく、皮膚科できちんと診察してもらってください。例えば、以下のような状態のときは受診を推奨します。
● 肌の表面に小さな水ぶくれがある
● かゆみがある
● 皮膚が赤くなっている
● 肌の表面にフケのようなものが出ている
● ニキビができている
スキンケアなどのセルフケアをしても治らない場合や、上記のようない症状が見られる場合はすぐに皮膚科医に相談しましょう。時間が経って受診する場合は、いつ頃発症したか、どのような症状があるかなどを簡単に伝えられるようにしておきます。
治療期間については、ニキビであれば2~3ヶ月程度かかることも珍しくなく、症状によってはさらに長期間かかる場合もあります。しかし、専門医に診てもらうことで適切な治療を受けられます。なお症状にもよりますが、多くの場合、保険適用になるのでそこまで大きな金銭的負担はかかりません。
ここまで、肌が乾燥する原因やおすすめの乾燥対策についてご紹介しました。健康な肌を保つためには、「適切な洗顔とスキンケア」「良質な睡眠」「バランスのとれた食事」が大切です。乾燥肌が気になる方は自分の生活を見直してみてはいかがでしょうか。かゆみや赤みがある場合や、セルフケアをしても乾燥肌が治らない場合は皮膚科を受診しましょう。